「派手な二項対立の議論」を離れて、
「現地現物」の「実践的な問題」に集中しよう!
最近よく聞く「大きな政府(できるだけ政府がカネを使って介入する方がいい)」か「小さな政府(市場に任せて政府は小さくした方がいい)」か、という対立にしても、「概念」と「現実」のギャップがどうしても立ちはだかるんですよ。
本当に、本書で描いてきたような「個々人の本当の可能性がストレートに具現化した原生林のような経済」を実現できる気運が、経営実務レベルのスキルとして共有された社会に将来なれば、現在の小さな政府主義者が主張しているような、ほぼ全面的な規制緩和や所得税や法人税の累進性を下げること、消費税などの広く薄く徴収できる形への税体系のシフト、国際関係におけるFTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋経済連携協定)等の関税の撤廃などは、むしろ「あらゆる人間の幸福」につながります。
しかし、現状でただそれをやれば、さらに「今は古い共同体の記憶でワグナーズギャップを乗り越えられている理想例」すらもすべて破壊していくような、味気ない・希望のない・生きている意味が感じられない世界になるでしょう。
つまり、「大きな政府か小さな政府か」というのは一種の宗教論争でしかなく、両方の立場が相手を全面否定しているだけでは実質的な解決に決して入っていけない種類の問題なのです。
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