後編】「おばあちゃんになっても変わらない部分」を撮りたい

写真家の青山裕企さん、「美少女図鑑」の西原伸也さん、cakes編集長・加藤貞顕の「彼女写真」座談会も最終回。美少女の魅力を語り合う3人のもとに、なんと「彼女写真」第1回のモデル・馬場ふみかさんが登場。当時の「デート」について、撮られる側からふりかえってもらいました。はたして、ふみかさんの感想は?

「これ、微妙……」という表情を撮れたら“成功”

加藤貞顕(以下、加藤) さて、突然ですがここでゲストが到着したので、お入りいただきましょう。

馬場ふみか(以下、馬場) お久しぶりです!

青山裕企(以下、青山) おお~、えっ、ふみかちゃん?

加藤 はい。一番最初の「彼女写真」に登場してくれた、新潟の馬場ふみかさんです。

青山 サプライズが過ぎませんか(笑)……、2年ぶりだね。すっかりオシャレな大人になって……。身長伸びた?

馬場 そうですね、撮影のときより伸びて167センチになりました。今は上京して、事務所に所属して活動しています。

西原伸也(以下、西原) 今ね、これまでの「彼女写真」を見ながら、「僕らはこういう子とはつきあえないんだよな」って話をして切なくなっていたところですよ。「彼女写真」を撮影したときのこと覚えてる?

馬場 もちろん、覚えてます。

青山 よかった。僕、基本的に忘れ去られていると思ってるから(笑)。僕の方は絶対覚えてるけどね! ふみかちゃんの撮影で印象に残っているのは、「イタリアン」を食べる場面ですね。

馬場 ああ、はい!

青山 「イタリアン」という、地元の人がよく食べる新潟のB級グルメがあって、それをデートのなかで食べるんだけど、ふみかちゃんはいまいちハマッてなかったんだよね。

馬場 そうなんです。そのときの、ちょっと微妙な表情を撮られてしまって……。

青山 でも僕は、あのリアクションがきたときに「この撮影はイケるな」と思ったんですよ。女の子の方はそこまで気合いを入れてないデートなんだから、微妙なら微妙な表情をしていていいわけです。

加藤 女の子がちょっと不機嫌になって……っていうのも、デートの光景としてはリアルってことですね。

西原 この写真なんか、見るからに「飽きた」みたいな顔ですもんね。でもそういう表情もまたいい。

馬場 そうですか?(笑)

青山 そうそう(笑)。あと、「美少女図鑑の撮影だと、メイクやスタイリングがしっかりとしているけど、「彼女写真」はもっとラフな撮影なんですね。メインビジュアルにしているこの写真も、普通の撮影だったら髪の乱れを直して撮るところをあえてそのままにしていますからね。そういう写真が、しかも2年前のものがこうやっていつでも見れてしまうっていうのは本人的にどんな気持ち?

馬場 うーん、少し恥ずかしいですね。

西原 こういうのって、撮られた本人より、他人の方がその良さがわかるタイプの写真かもしれないな。女の子たちってよく、プリクラでも自撮りでも、同じ角度と同じ表情で撮るでしょ。それが自分の一番良い顔だと思ってやっているからなんだけど、でもそれを僕らが見ても、実はぐっとこないんですよ。

加藤 この時のふみかちゃんにしか出せない良さが写っていますよね。「彼女写真」のメインビジュアル、すごく評判いいんですよ。

美貌は衰えるけど愛嬌は老けない

青山 上京してみて、どうですか?

馬場 毎日いろいろなオーディションを受けたりしています。

青山 頑張ってるなあ。さっきまで、撮った女の子たちがそうやって羽ばたいていくのも嬉しいんだけど、撮る側としては、2年前にこうやって半日かけて「デート」したところで印象が止まるんだ、っていう話をしていたんですよ。もちろん、ふみかちゃんのブログとかは見ているんだけど、こうやって向かい合うと緊張しますね。漫画のなかの好きなキャラがリアルに現れたような感じ(笑)。

馬場 二次元なんですか(笑)。

青山 でも話してみると、やっぱりあのときと変わらないなって思う。僕には一つ持論があって、それは「美貌は衰えるけど愛嬌は老けない」なんです。

馬場 「愛嬌」ですか?

青山 そう。言い換えれば、おばあちゃんになっても変わらないだろう、という部分。それを僕は撮りたいんです。たとえば20年後や30年後に、ふみかちゃんが旦那さんとか子どもさんと一緒にこの「彼女写真」の過去記事を見て、「お母さんのこの笑顔の感じ、今と一緒だよね」とか、「ほうれい線も出て体に肉もついたけど、君のこの仕草は17のときと変わらないよな」とか盛り上がってくれれば、僕はもう心置きなく土に還れます。

馬場 そんな(笑)。

青山 ふみかちゃんが地元でリラックスして、素を出してくれたからこそ、この写真はいいものになったと思うんですよ。この、最後のあくびの顔もいいなあ。演出だったかもしれないけど。

馬場 いえ、あくび、本当にしました……(笑)。

西原 僕はこの、半目の写真が結構好き。女の子って写真撮られるとき、目に力いれて大きくする子が多いんですよ。僕は少しくらい半目だったりする方が親近感をおぼえますね。

青山 このデートの相手って「彼氏」じゃないから、女の子が「媚びる」必要がないんだよね。おいしいもの食べて、ちょっといい景色見られればいいかな、っていうくらいの感覚。でも男の子の方はその彼女の姿を網膜に焼きつけて、さっきのバス停でちょっと半目になってたところがよかったな、なんて思い出すんです。女の子からしたらそれは焼き付けてほしい表情じゃないかもしれないけれど、あまたの男の子の方はむしろそういうふとした表情の方にこそドキッとするんですよ。

非対称な視線にこそ「リアル」がある

西原 ふみかちゃんに聞いてみたいんだけど、こういうデートって地元の人間としてどうなの?

馬場 そうですねえ、このデートは……行動範囲が広いと思います(笑)。実際に商店街からこの通りに移動するとしたら、かなりたくさん歩かなきゃいけないですよね。

青山 周りの子たちはどんなデートをしてた?

馬場 映画見て、カフェに寄って終わり、くらいじゃないでしょうか。川でお弁当食べるとか、聞いたことがないですね。

青山 やっぱりそうなんだ……。あの、僕新潟の二回目のときは、モデルの子にお弁当作ってきてもらって食べたんですよ。女の子の手作りの弁当。もう嬉しくてね。たぶん、あれが人生で最初で最後なんだろうな(笑)。

西原 でもさ、好きでもない男とこんなデート誘われて、そもそも行くのかなあ。少しは気になるところがあるからこういう表情とか見せてくれるんじゃないの?

青山 それはその通りで、一次選抜には通ってるんですよ。でも最終選考には落ちるんです。つき合えない。告白もできない。

西原 なるほど、そこがリアルなんだね。友達だと思っている女の子と、もう一歩先に行きたい男の子の目線。

青山 「彼女写真」でデートしている想定の男の子にとってのゴールは、「手をつなぐ」だと思うんですよ。でもそんな写真は一枚もない。「髪乱れてるよ」なんて言って髪を触ることもない。撮影する僕自身もやりません。僕の撮影のポリシーは、女子に一本も指を触れないってことなので。カメラマンの中には、モデルの髪とか自分でぱっぱと直しちゃう人もいて、かっこいいなあと思うんだけど。10年後くらいにはそうなれるかな。

西原 青山さんには無理そうですね(笑)。

青山 いやいや、この距離で女性と喋れるようになっただけでもかなり進歩しましたよ! 今ならふみかちゃんと5秒見つめ合うことが……あ、無理だった。でも今良い距離感だったから写真撮っとこう。

(青山、写真を撮る)

馬場 ふふ、恥ずかしい。

青山 こうやって見つめ合ったとき、僕はふみかちゃんのことしか見えないわけですね。でも女の子の方は、「青山さん」を見ていない可能性がある。目線は向けていても、頭の中では今日の晩ご飯のことを考えているかもしれない。「彼女写真」で大切なのは、この視線の非対称性なんです。男の子の妄想っていうのは一方的で身勝手で、その非対称性の中にあるものでしょう。だから、僕はもともとモテないんだけど、カメラマンとしてはこれからもモテちゃいけないと思ってる。女の子が異性を意識する目で見てきたら困るから……まあ、ないでしょうけど。

西原 確かに、これがめちゃくちゃ惚れてる顔だったら違うタイプの写真になっちゃうな。この連載では、出てる女の子たち全員が青山さんのことはアウトオブ眼中だからね。

馬場 そんな!(笑)

西原 いや、そこがいいんですよ。「彼女写真」をすんごいイケてるカメラマンが撮ってると思っただけで、俺もう無理だもん。

青山 そう。だからこそ僕も、いつも適度な“もっさり感”を演出していってるわけです……あえてね(笑)。

西原 青山さん、もう“もっさり”のプロだね。

馬場 私、「彼女写真」がきっかけで事務所が決まった部分もあるんです。当時は何もわからないまま、一般人として撮ってもらいましたけど、いつかは女優としてまた青山さんに撮ってもらいたいと思っています。

青山 それは僕も楽しみです。

加藤 「彼女写真」が、明日のタレントを生む新しいきっかけになるのはうれしいことですね。青山さんと「沖縄美少女図鑑」がコラボしたクラウドファンディングも始まりましたし、今後もっといろいろな展開をしていければ。

青山 もっともっとおもしろいことを仕掛けていきたいですね!


【後編ゲスト】

馬場ふみか(ばば・ふみか)
14才のとき新潟でスカウトされ、新潟美少女図鑑のモデルとしてデビュー。 瞬く間に人気を獲得し、表紙・巻頭ペー ジに度々登場。 新潟県内のCM、広告等にも起用され、 ご当地モデルとして活躍。 2014年4月より東京で活動開始。今後、多方面での活躍が期待される新人女優。出演作に映画「パズル」(原作:山田悠介)の高井サヤカ役などがある。

この連載について

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かわいいだけじゃない“美少女”の撮り方—「彼女写真」2周年記念座談会

美少女図鑑 /青山裕企 /cakes編集部

地方都市発のフリーペーパー「美少女図鑑」と写真家・青山裕企さんのコラボ企画「彼女写真」。地方都市に実際に暮らす女の子と一日デートしたら……という設定で、毎月さまざまな都道府県のデートスポットをめぐる定番連載です。新潟編から始まり、北海...もっと読む

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コメント

takurokoma 新潟編は本当にいいよ。新潟の人はみんな可愛いと思う 3年以上前 replyretweetfavorite

yukiao cakes連載「彼女写真」の座談会、最終回です! 「おばあちゃんになっても変わらない部分」を撮りたいhttps://t.co/9wPxr27ZSf 3年以上前 replyretweetfavorite

110kin 青山さんのインタビュー読んでたら「女子には触れられない」こちらの人で親近感わきましたw 3年以上前 replyretweetfavorite