どっちの味方やねん?
前回は、ワグナーズギャップという独自の概念とそれに関連して生じる問題について説明しました。単純化してまとめると、日本では結局、あらゆることが「おまえはどっちの味方やねん?」「おまえはどこ所属の人間やねん?」ということに帰着してしまうのですが、そこであえて、「どっちの味方でもあるかい! 俺は〝真実〟の味方じゃあ!!」とタンカを切るような方向にみんなで向かえたらゴールだということです。
とは言うものの、アメリカならこんな台詞を堂々と言えたら、とりあえずスタンディングオベーションで迎えてもらえるかもしれませんが、日本でこんなことを言っても「ヒソヒソ……あいつ前からオカシイ奴やと思とったけど、ほんまにプッツンしてもうたんちゃうか……」などと言われるので、ここは非常に周到に戦略的にじっくり立ち向かう必要があります。
しかし、それだけ懐疑的だからこそ、かけ声倒れに終わらずに本当の転換まで持っていける「これこそが日本の長所なんだ!」とプラス思考で信じましょう。
べつに悪口を言いたいわけじゃないのですが、オバマ米大統領が選挙で選ばれた年、「イエス・ウィー・キャン」だとか「チェンジ」だとか、「通りの良いキャッチフレーズに対しては本能的懐疑主義の固まり」みたいな日本人から見ると「え? 何を?」「え? 誰が?」「え? どういうこと?」的なフレーズに爆発的に熱狂している彼の国の様子に、半分は日本人として非常に羨ましいというか、でも残りの半分は、ちょっと危なっかしいような感覚を持たれた方も多いのではないでしょうか。
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