倉本圭造
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第11回】概念とリアルの間に横たわる「ワグナーズ・ギャップ」とは?
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さんの意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。概念派の長州藩側とリアル派の薩摩藩側の間に横たわる溝「ワグナーズギャップ」。人類にとっても普遍であるその問題がいまの日本人にとっても課題なんです。
概念とリアルの間に横たわる「ワグナーズギャップ」は、
人類にとって普遍的な問題
リヒャルト・ワグナーという作曲家がいます。勇壮な感情を奮い立たせるメロディを作ることにかけてはクラシック作曲家の中で突出した才能を持っていた、19世紀のドイツ人です。
のちに彼の曲はヒトラーがナチス政権のイベントなどで頻繁に使用したためにかなりイメージが悪くなってしまっている部分もありますが、たとえば日本人でも、政治学者の丸山眞男氏や作家の三島由紀夫氏、アニメ作家の宮崎駿氏など、一体的に構築された自分独自の世界観を強力に表現して世の中に影響を与えていきたいタイプの人に熱烈なファンがいることで有名です。
子供時代に私がハマっていたパソコンゲームのBGMに彼の「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」が使われていて、ずっと聞いているうちに、最後の有名なファンファーレのあたりには、もうなんだか世界を征服しちゃったような気持ちになってしまい困りました。
とにかく、このワグナーは文筆家としても有名で、その著作のなかの「音楽におけるユダヤ性」という文章で、「ユダヤ人には本当の芸術は創り出せない」などと批判しているんですね。
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この連載について
倉本圭造
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さん。彼の処女作『21世紀の薩長同盟を結べ』は、23万字にわたる圧巻の提言書です。そんな意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。閉塞的な空気に包まれ...もっと読む
著者プロフィール
経済思想家、経営コンサルタント。1978年神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて、「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」との大きな矛盾に悩み、両者を相乗効果的関係に持ち込む『新しい経済思想』の必要性を痛感、その探求を単身スタートさせる。いわゆる「ブラック企業」やカルト宗教団体、ホストクラブ、肉体労働現場等に潜入して働き、今を生きる日本人のリアリティを肌感覚として知った後、船井総研を経て独立。「個人の人生戦略コンサルティング」の中で、当初は誰もに不可能と言われたエコ系技術新事業創成やニートの社会再参加、元会社員の独立初年黒字自営化など、幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。