不器用な私に唯一できること。それは「全力でぶつかること」

『闇金ウシジマくん Part2』『愛の渦』など話題作に多く出演し、そして10月25日公開の映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で主演をつとめている門脇麦さん。どんな作品でも発揮されるその類まれな存在感から、様々な作品にひっぱりだこです。そんな彼女に、プロのバレエダンサーを目指していた幼少期から、女優を目指したきっかけ。そして、その素顔に迫ります。

門脇麦がいま輝いている3つの理由!

役柄の幅が自由自在すぎる!
乱交パーティに参加する女子大生役を全裸の体当たりの演技を見せる一方、難解な津軽弁をしゃべる明るい女の子まで、幅広い役柄を演じています!

人気映画やNHKの朝ドラなど、話題作に続々出演!
人気映画『闇金ウシジマくん Part2』や人気ドラマ『ブラック・プレジデント』に出演し、話題に。さらに、来年3月放映開始の連続テレビ小説にも出演予定。話題作が多数控えています!

12年間バレエで培い続けた、身体能力の高さ!
14歳までプロバレエダンサーを目指していた門脇さん。東京ガスのCM「ガスの仮面 MASK OF GAS」ではバレリーナ役を見事に演じ、チョコラBBのCM「Feチャージ」でも華麗なダンスを披露しています。

自分自身と役の間にある共通点を探り当てるのが、自分の仕事

—  全裸での体当たりの演技が話題になった『愛の渦』に引き続き、今年はもう1作主演映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』が控えているそうですね。

門脇麦(以下、門脇) 今回の作品は、青森県に住んでいた21歳の田舎者の女の子が、上京してヨガと出会う……という話なんです。正直、これまでこんなに明るいテイストの作品に出たことがなかったので、話をいただいたときは「私で大丈夫なのかな?」という戸惑いがありました。

— たしかに、乱交パーティに参加する内気な女子大生役を演じた『愛の渦』とは正反対の役柄ですね。

門脇 そうなんです。ただ、どんな役でも、一見自分とはかけ離れているように見える役だとしても、自分のなかにはその役の要素があるのも間違いないと思うんです。なぜなら、それは監督やスタッフの方が、私のなかにその要素を見出してくれているわけなので。

— といいますと?

門脇 たとえば、鬱々とした役をやるときも、今作みたいに元気な役をやるときも、私のなかにそういう部分があるからこそ、「門脇麦のその部分を作品に使いたい」と監督やスタッフさんが言ってくるから、お仕事をいただけるんだと思うんですよね。
 そんななかで、私がするべきことは、相手がその作品において「私のどの部分を求めているのか」を探ること。それを見つけたら、「相手の求める私」を全力で提供しようといつも努力しています。

— 自分の中からその「役」を引き出すためには、どんなことをするんですか?

門脇 明るい面、暗い面、いじわるな面など、自分の中にあるそれぞれの部分を膨らまして映し出すことなんじゃないかと思います。どんな人でもいろんな顔を持っていると思うので。家族の前で出す顔、友人の前で出す顔……。それを引っ張りだすという感じです。

「演技」する前は、徹底的に動きを体になじませる

— 門脇さんはどんな作品でも「すごく存在感のある」と定評がありますが、それはこうやって内面から役柄を引き出すのがうまいからなんでしょうか。

門脇 うーん、そうやって言ってくださる方が多いんですが、正直自分じゃ全然わかりません。私が自分でスクリーンを見ても、「あぁ私が映っているなー」と思うだけで、「存在感がある」とは思えないです。もしも、本当にスクリーンに映った私からそういうものを感じてくださる方がいるのなら、それは私の努力や演技とかではなく両親に感謝するべきことなのだろうと思います。

— 普段の自分から、その役柄に入り込むときにスイッチのようなものはあるんでしょうか?

門脇 自分ではその感覚はないんですけど、よく「本番になるとスイッチが入る」とは言われますね。ただ私は器用なタイプではないし、テクニックもないし、演技がうまいわけでもない。唯一、私にできることは本気で作品にぶつかっていくことだけだと思っています。

— 具体的にはどんなことをするんですか?

門脇 いろいろあるんですが、絶対に徹底してやるのは、リハーサルでは段取りや体の動きをしっかり体になじませることです。本番は何も考えずその状況に身を委ねられる状態に持っていけるようにしています。

— なじませる……?

門脇 本当に単純なことで、「自分が一番引っかかりたくない場所を、しっかり覚えておく」っていうそれだけです。たとえば「このセリフを言うときは、カメラの位置の関係で、一歩横に出ないといけない」とか。

— 立ち位置や身振りなど、身体的なことですね。

門脇 そうです。でも、この馴染ませる作業が私にはすごく重要なんです。本番で「あそこの場面ではこうしなきゃいけない」とかっていうのが頭の隅にちょっとでも引っかかっていると、冷静な自分の割合が大きくなってしまうんです。でも、仮にうまくセリフを言えても、立ち位置や動きが悪くてもダメなわけで。

— なるほど。

門脇 だからリハーサルの時は感情の部分はひとまず置いておく。そして、動きに徹底するんです。

人前でなにかするのは、実はまだまだとっても恥ずかしいです

— 門脇さんは、すごく段取りを大事に考えているんですね。

門脇 多分器用な方だったら、一度聞いただけでサッとできてしまうんでしょうけど、私はそんなに器用じゃないので。感情と段取りを一緒に考えることはとても難しいです。だから、撮影に入る前は、動作的なものは全部最初にきっちり頭に入れておきたいんですよね。じゃないと恥ずかしさを乗り越えられないから。

— え、恥ずかしいんですか?

門脇 冷静に考えたら「人前で何かする」ってとても恥ずかしいことじゃないですか。学生時代、文化祭とかで出し物とかやったことがあるのですが、それと同じ感じです。

— なるほど。

門脇 人前でなにかをやるのはめちゃくちゃ恥ずかしいことだっていう感覚は、いまだに持っています。でも、その恥ずかしさがあると、できるものもできなくなってしまう。だから、なにかを取っ払うことでその恥ずかしさを超える必要があるんです。それが、私の場合は、リハーサルで徹底的に馴染ませて何も考えずにそのシーンの状況に身を置いて、冷静な自分を小さくするということなんだと思います。

— それが門脇さんにとっての本番のスイッチになっているのかもしれませんね。

門脇 そうですね。「冷静な自分」もいるけど、一方で「ちょっと冷静じゃない自分」を作るという感じです。

— その状態って、撮影中はキープするんですか?

門脇 昔はそうでした。お昼とか食べている時も緊張している状態でした。いまはなくなってきて、少しずつ切り替えが出来るようになってきたので、そこだけは楽になりました。


次回「『夢は諦めなければ叶う』なんて考えは、とっくの昔に捨てました」は9/30更新予定

執筆:藤村はるな、撮影:小島マサヒロ



『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』
©2014「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」フィルムパートナーズ

2014年10月25日より全国公開
脚本・監督:永田琴
出演:門脇麦、道端ジェシカ、ディーン・フジオカ、葉山奨之、石田ニコル、坂口健太郎、村上淳ほか

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この連載について

イマ輝いているひと、門脇麦「いつまでも、『怖いもの知らず』な女優でいたい」

門脇麦

話題作『愛の渦』で見せた乱交パーティ参加する内気な女子大生役。一方、10月25日公開の映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』では親の反対を振りきって、青森から一人で上京する明るい女の子を演じるなど、幅広い役どころで注目を浴び...もっと読む

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コメント

azpon_ym 麦ちゃん、大人や… https://t.co/NNxzevVfyf 約4年前 replyretweetfavorite

hiro 門脇麦が特集されていたので、映画「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」の宣伝用取材記事を読んでいたけど、監督が永田琴さんで驚いたのがハイライト。 “リリイ・シュシュのすべて”の頃の岩井組で助監督をやってらっしゃったかた。 https://t.co/mGcNGYMtWD 約4年前 replyretweetfavorite

atribecalld138 門脇麦ちゃん大ファンです!> 約4年前 replyretweetfavorite

suchi cakes.muの門脇麦。「リハーサルの時は感情の部分はひとまず置いておく。そして、動きに徹底する」のあたり、面白い。これは実は普遍的なコツなんじゃないかと思った。 https://t.co/4sBdblcdNq 約4年前 replyretweetfavorite