名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」—「改変」された美術たち

表参道駅そばにある都会のオアシス・根津美術館。広い庭園も見ものですが、本日スタートの「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」展にも注目すべき美術がもりだくさん。それらはなんと、「つくられてから完全な状態を保っている」ものではなく、むしろ「趣味の変化や破損に対応して改変・補修が行われてきた」ものたちばかりなのです。歴代の所有者による「愛蔵」のあり方に、思いをはせてみませんか。

東京の地下鉄表参道駅からほんの少し歩いただけで、この静けさと深い緑の景観が得られるとは。「穴場」とはまさにこのことですよ。広い庭園に包まれるかたちで建つ、根津美術館です。企画展が開かれる展示室1・2で、「名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」がはじまりました。

不思議な展名ですね。これは、次のような意味のようです。美術品は長い年月にわたって受け継がれていくもの。趣味の変化や破損などに対応するため、作品はときに切断されて仕立て直されたり、補修が施されたりします。創作された時点とは異なるかたちで残されている作品を集めて、長く愛されてきた軌跡を眺めてみましょう、と。

歴代の所有者たちによる「改変」を愛でる、ということですね。なるほど、あまり類のない展示です。テーマも珍しくておもしろいのですが、それだけではありません。そもそも出品作が豪華そのもの。約100の出品作のうち、国宝が4件、重要文化財は35件に及ぶのですよ。

会場に入って、まず目に入るのは《 瀟湘八景図 しょうしょうはっけいず  漁村夕照》です。中国13世紀・南宋時代の作で、筆は牧谿によります。こちら、国宝です。中国発祥の水墨画は、日本でも独自の発展を見せましたが、その歴史上ずっとお手本として尊重されてきたのが牧谿です。

《瀟湘八景図 漁村夕照》牧谿筆 南宋時代・13世紀 根津美術館蔵

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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ephthaltes これいきたいな。根津美術館にて。/名画を切り、名器を継ぐ 美術にみる愛蔵のかたち」ーー「改変」された美術たち| https://t.co/kZnaeHvsQT 4年弱前 replyretweetfavorite