いちばん頭が良い人の力も、いちばん現場を知っている人の力も
発揮できていない現状
結局、「知性」というものに対する理解がお受験教育的に平板で一面的であり、「IQ」と「PQ」のギャップに無頓着であるために、「いちばんオベンキョウができる(いわゆる頭が良い)人」の力も、「いちばん現場に精通している人(そういうキャラに将来なりえる求職者)」の力も吸い上げられず、しかしなんとか「日本企業としての組織の密度」を保たなくてはいけないから必死で、「ものすごく頭がいいわけでもないし、ものすごく現場を知っているわけでもないかもしれないが、柔軟性という意味では他の二者よりもコミュニケーション強者」な人たちだけで、なんとか組織を分解させずに毎日を必死にこなしている―それが今の日本の企業なんだということです。
「突出して頭が良い人」の力を「アイツはコミュニケーション力がないからダメ人間」扱いして排除し、そうかと思えば、「古参のなんでも知ってる現場の叩き上げのボス」に、昇進の要件だとか言って無理やりペーパーテストを受けさせて、それが通らなかったらダメとか言い出す。「なんか違うんだよなあ」という感覚が常にあるからダラダラと長時間になるし、「やったなあ」と心から思える瞬間も訪れないからずっと不完全燃焼だし……そうすれば当然、買いたたかれるような中途半端なものしかできないから、数を必死にこなすしかなく、納得できないのに大量に数をこなしまくらなくてはいけないから、メンタルを病む人も出てくる。
これらはすべて「アメリカという国の成り立ち」と「日本という国の成り立ち」の根本的な差異を無視した、「単純なアメリカ追従」の結果として引き起こされている問題だと言えます。
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