サイハテ

第5回 第1章

智史の計らいもあり、ぐっと距離が縮まった悠治と由希。そして、「三人でどこかに遊びに行こう」という智史の提案に由希は……。

動画再生回数260万回を超えるボーカロイド楽曲の名曲が遂にノベル化! 
楽曲制作者・小林オニキスが自ら贈る、人と人が想いと願いをつなぐ物語『サイハテ』から一部を公開します。

♪オリジナル楽曲「サイハテ」の動画はこちら♪

 八月十日
「あのさ、夏が終わる前に三人でどこかに遊びに出かけない?」
 三人でいつもの公園に集まって天体観測をしていると、智史が突然切り出した。
「ああ、いいんじゃない」
 僕は智史の案に賛成だった。こうやって天体観測をしに夜の公園に集まるのもいいが、由希が引っ越す前に、みんなでどこかに遊びに行くのも楽しいだろう。
「由希はどこか行きたい場所ってある?」
「……そうだなぁ」
 彼女は真剣に考え込んだあと、静かに口を開いた。
「昔ね。家族みんなで行ったところがあってね。お母さんの生まれ故郷らしいんだけど。山の上にね、大きな石があるんだ」
「石?」
 智史が訊き返す。
「そう、石。そこで願いごとをするとかなうんだって」
「へぇ。神社みたいな感じ?」
 僕がそう言うと首を横に振りながら由希が答えた。
「ううん。そういうんじゃなくて、大きい石なの。それで夜に行ったらすごく星が綺麗だったんだ」
「それってどこにあるの?」
問石といし町ってところ。知ってる?」
「ごめん。俺はちょっと知らないや」
「僕も」
 行動派の智史が知らないのだから僕が知るはずもない。
「ここからだと、どうやって行くのか調べてみないとわからないけど、たぶんそんなに遠くなかったと思う」
 昔の記憶を頼りに由希が言った。
「じゃあ、今度一緒に行ってみようぜ。引っ越しちゃったら、なかなか三人で遊びに行けなくなっちゃうでしょ? な、悠治!」
 智史が僕のほうを見て、目で合図する。
「そうだな。由希、せっかくだから一緒に行こうよ!」
「うん、私……行きたい」

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サイハテ

小林オニキス

再生回数260万を超えるボーカロイドの名曲がノベル化! 楽曲制作者である小林オニキス氏が自ら贈る、“人と人が想いと願いをつなぐ”物語『サイハテ』の一部を公開します。 それは、たおやかな恋でした――。 ある日、中学二年生の水上...もっと読む

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