倉本圭造
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第8回】本当はすごい日本の「普通」
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さんの意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。今回は「日本では普通になっていること」の裏側に隠れた知性と、それを生かしきれていない日本の問題点に迫ります。
日本ではまったく「普通なこと」の裏側にある「ものすごい知性」について
考えてみよう!
日本国内を見回すと、ほとんど遅れない電車だとか時間通りに来るサービスだとか、他国にはないものがたくさんあります。それらの「偉業」は、そこに働いている人の「頭脳の使い方」の結果として生まれてきているものであるはずです。
そして、たとえば首都圏の複雑に入り組んだ電車を数分間隔で毎日定刻運行するなんて、ものすごく難しいことです。それについて考えなくてはならない問題は山ほどあります。一駅区間でたった6秒遅れただけでも、10駅続けば1分のズレになり、それが連続した電車のダイヤのなかで調整できなければすぐに数分、下手したら数十分遅れてしまいます。
それを回避するためには、ひとりひとりの運転技術の驚くべき錬磨と、駅員や中央司令室との連携作業など、「超絶的に知的な作業」が毎日行われているわけです。
ちゃんと時間通りに宅急便が届くということだけを考えても、それを配達する役割の人のなかに、配送ルートを頭に描いてちゃんと順番に荷物を積み込み、相手が不在の状況も道路状態も勘案したうえであれこれ調節して動く「職業的に特化した自前の知性」が存在します。
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この連載について
倉本圭造
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さん。彼の処女作『21世紀の薩長同盟を結べ』は、23万字にわたる圧巻の提言書です。そんな意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。閉塞的な空気に包まれ...もっと読む
著者プロフィール
経済思想家、経営コンサルタント。1978年神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて、「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」との大きな矛盾に悩み、両者を相乗効果的関係に持ち込む『新しい経済思想』の必要性を痛感、その探求を単身スタートさせる。いわゆる「ブラック企業」やカルト宗教団体、ホストクラブ、肉体労働現場等に潜入して働き、今を生きる日本人のリアリティを肌感覚として知った後、船井総研を経て独立。「個人の人生戦略コンサルティング」の中で、当初は誰もに不可能と言われたエコ系技術新事業創成やニートの社会再参加、元会社員の独立初年黒字自営化など、幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。