漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?
自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。
(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品)
ハードルを上げ過ぎた考え方を捨てる
2013年から、アベノミクスが始まりました。2013年の秋には、2020東京オリンピックの開催が決まり、日本経済は一時お祭りムードになりました。
ただ、冷静に考えなければいけないことは、これからはかつてのような経済成長はできないということです。現に最近、経済成長率の目標を下方修正せざるを得ない状況にもなっています。国全体が高度成長期のような「上へ!」を目指して生きていくことは、もはや不可能です。
ぼくらを待っているのは、国全体としては成長がない、比較的"退屈"な経済状態です。そして同時に、ぼくらを待っているのは、「個人主義」の世の中です。ここでは、目標設定、自己管理、自己実現などの責任が、各自に、より過酷に求めるようになります。
がんばるのも、個人の自由。がんばらないのも、個人の自由。ただし、がんばらない時に、それなりの結果になるのは個人の責任。そう社会が思うようになります。
ここで、ぼくらが取り得る道は2つです。
ひとつは、自分はそのがんばる道から降り、がんばっている他人にチャチャを入れて、外野から騒ぐ人生。そしてもうひとつは、泥だらけになりながら、外野からチャチャを入れられ続けて、それでもなお自分で切り開く人生。
「今度こそ、人生を変えたい」と思うのなら、がんばる道から降りてはいけません。道から降りた瞬間に、それこそ"試合終了"になってしまいます。
すべてが自己責任の世の中で、泥らだけになりながら進んでいくのは、決してたやすいことではありません。でも、少しくらいはハードルを下げることはできます。というより、ハードルを上げ過ぎた考え方を捨てることができます。
この章では、最後にそれをお伝えしていきます。
まずは自分を大切に扱う
月亭邦正という芸人さんがいます。以前は「山崎邦正」という名前でした。ダウンタウンの"ガキの使い"にレギュラー出演しています。
彼が、むかし歌を出しました。「学級王 ヤマザキ一番!」という歌です。この歌を聞いていた当時は、まったく感じませんでしたが、今聞くと、この歌の一説がすごく心に響いてきます。
「ヤマザキ一番! ヤマザキ一番! 行くぞヤマザキ、己のために」
今の世の中は「人のために」と言い過ぎているように思います。特に日本社会では、自分を押し殺して、他人を優先することが「善」とされています。でもそれでは、誰も幸せになれません。
「他人のために」というのは非常に崇高な考えだと思います。でもそれは自分の心が満ちてから考えればいい。自分の心が満たされていなければ、他の人の心を満たすことなどできないからです。
自分の心が満たされていないと、満たされていない不満足感が募ります。そんな状態で、他人を幸せな気分にさせられるわけがありません。形上は"おもてなし"ができたとしても、心が入りません。
自分自身が苦しんでいるのに、何とか他人に幸せになってもらおうとがんばってみても、うまく行きません。どこかで「自分も大変なのに、あなたのためにやってあげている」と感じるようになり、相手がそれを感じとってしまうからです。
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