倉本圭造
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第7回】概念とリアルの距離をとれる日本人
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さんの意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。今回は、薩摩藩側日本人(国内派日本人)の長所である、「概念とリアルの距離のとり方」をメジャーリーグのある事件を例にとって説明します。
「概念」と「リアル」との間のラストワンマイル(最後の一歩)
もう少し掘り下げて、薩摩藩側(集団主義的な日本人)の方の事情を考えてみましょう。
概念というか「頭で考えたコンセプト」と「現実そのもの」の間には、「距離」があります。
アメリカ人はそんなものはないと思っていて、「私は3カ月の○○のコースを大学で取ったからこれができるわ」などと平然と言いますが(いやこれは半分冗談のたとえ話なんで、もしあなたがアメリカ人だとしても怒らないでくださいね)、日本人は「概念」と「現実」との間の「距離」に敏感で、そこを「密度感」を持って処理できるところが日本人の強みなわけですよね。
アメリカ社会の強さ(と、その裏返しとしての弱さ)というのは、そのあたりの判断の難しさをすべて無視しちゃうようなところにあるわけです。すべて理屈で押し切ってしまえると思って「すべて」を組み立てている。「すべて」というのは、もう本当に「社会のすべて」と言ってもいい、個人の精神の内部だってそうやってやっていけると思っているフシがあります。
グローバリズムとしてのアメリカ流に合わせすぎることによる日本人の長所の窒息の、根本的な構図がそこにあります。
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この連載について
倉本圭造
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さん。彼の処女作『21世紀の薩長同盟を結べ』は、23万字にわたる圧巻の提言書です。そんな意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。閉塞的な空気に包まれ...もっと読む
著者プロフィール
経済思想家、経営コンサルタント。1978年神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて、「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」との大きな矛盾に悩み、両者を相乗効果的関係に持ち込む『新しい経済思想』の必要性を痛感、その探求を単身スタートさせる。いわゆる「ブラック企業」やカルト宗教団体、ホストクラブ、肉体労働現場等に潜入して働き、今を生きる日本人のリアリティを肌感覚として知った後、船井総研を経て独立。「個人の人生戦略コンサルティング」の中で、当初は誰もに不可能と言われたエコ系技術新事業創成やニートの社会再参加、元会社員の独立初年黒字自営化など、幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。