あえて土臭い音楽をやる
90年代リバイバルが来てる!
イラスト:長尾謙一郎
柴那典の9曲目→チームしゃちほこ「いいくらし」
「いいくらし」チームしゃちほこ
2014/04/19UP 359,542play(2014/09)
柴那典(以下、柴) じゃあ、前回に続いて今回は2014年上半期の“ぶっ飛んだ曲”の話からしていこうと思うんですけれども。まずはチームしゃちほこ『いいくらし』ですね。
大谷ノブ彦(以下、大谷) これはヤバいですね。90年代の音楽を聴いてたらおもしろいポイントがたくさんある。
柴 この曲、元ネタがたくさんあるんですよね。まずはD-Mobの「We Call It Acieed」という曲。最初に叫んでる「アシ―ッ!」っていうのが、ここからのサンプリング。
「We call it acieed」D-Mob
大谷 いわゆるアシッドハウスですよね。
柴 そうそう。しかも100%そのもの。それを今のアイドルグループがやってるという、この不可思議感。
大谷 しかもタイトルが「いいくらし」っていうね。
柴 これ、歌詞の表記は「E E Eくらし」になってるんですよね。この「E」というのは「エクスタシー」っていうアシッドハウスの時代に流行したドラッグの略称で。「いいくらし」の「いい」はエクスタシーの「E」なんですよ。
大谷 そこまでやってるんだ、すげー!って思いましたね。
柴 しかも、メンバーの子もインタビューで最高なことを言っていて。曲を聴いた第一印象を訊かれたときに、咲良菜緒って子が「聴いてると、身体の中から笹みたいなものがゾワゾワーッて出てくるみたいな感じがする」って(笑)。
大谷 ははは! それは症状だ!
柴 「正解!」って思いました(笑)。
大谷 おもしろいですよね。しかも曲の後半になると吉幾三の『おら東京さ行ぐだ』も入ってくる。
柴 無理やり乗っかってくるんですよ。しかもTRFもマッシュアップされる。
大谷 これ、なかなかのものですよね。
柴 アイドルブームが、いかに音楽制作現場のクリエイティブを活性化させてるかっていうことですよね。ももクロ以降、どんどん新しい引き出しが開いている。しかも何も知らないアイドルの子たちがドラッグのことを歌ってるという。
大谷 それがポップなんですよね。SPEEDだって「Go! Go! Heaven」って言ってセックスの曲を歌ってたわけじゃないですか。アイドルはそうあるべきだと思いますね。
柴那典の10曲目→上坂すみれ「来たれ!暁の同志」
「来たれ!暁の同志」上坂すみれ
2014/07/04UP 41,761play(2014/09)
柴 この90年代リバイバルの流れでもう一曲紹介したいんですけれど、上坂すみれ「来たれ!暁の同志」という曲。これがまた、とんでもなく変な曲なんですよ。
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