倉本圭造
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第2回】「陰樹」と「陽樹」のコラボレーション
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さんの意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。閉塞的な空気に包まれた日本のなかで、希望を次世代へとつなげ、世界へと広げていく方法をひもときます。今回は、「原生林のたとえ」からみえてきた、「陰樹」と「陽樹」という、二つの人間タイプに迫ります。
ふたたび「原生林のたとえ」に戻ると?
では、これまでの話をもう一度「原生林のたとえ」に戻して考えてみましょう。
なぜ原生林はあんなに柔らかく温かい土があって、多様な生態系を内包しているのに、近所の雑木林の土はカチカチに冷たく固くて、貧困な多様性しか含まれていないのでしょうか。
よく言われている考え方として、人間の手が入った森と原生林が違うのは、人間の手が入った森は木材になりやすいスギなどの針葉樹ばっかり植えていることだという指摘があります。そういう「単一種の森」じゃなくて、いろんな種類の「雑木」が植わっていることが大事なんだという考え方ですね。
しかし、私の故郷の神戸には六甲山という山(あの「六甲のおいしい水」で有名な山です)がありまして、そこには、明治時代に燃料にするために木を切りすぎてハゲ山になってしまい、わざわざ植林して作られた若い森があります。
その植林のときに、スギやヒノキといった「木材として利用しやすい木」だけではなくて、種々の雑木を植えることによって単一植生の森よりも砂防効果を高めたというのが、当時としては非常に先進的な事例だったらしいのですが、しかしその六甲山(子供のころ、よく父につれられて登りましたが)に
は、芦生の原生林のような「柔らかい土」はあまりなかったように記憶しています。
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この連載について
倉本圭造
京大、マッキンゼー、ホスト、船井総研という異色の経歴を経てきた若き思想家・倉本圭造さん。彼の処女作『21世紀の薩長同盟を結べ』は、23万字にわたる圧巻の提言書です。そんな意欲作のエッセンスを、cakesでもお届け。閉塞的な空気に包まれ...もっと読む
著者プロフィール
経済思想家、経営コンサルタント。1978年神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて、「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」との大きな矛盾に悩み、両者を相乗効果的関係に持ち込む『新しい経済思想』の必要性を痛感、その探求を単身スタートさせる。いわゆる「ブラック企業」やカルト宗教団体、ホストクラブ、肉体労働現場等に潜入して働き、今を生きる日本人のリアリティを肌感覚として知った後、船井総研を経て独立。「個人の人生戦略コンサルティング」の中で、当初は誰もに不可能と言われたエコ系技術新事業創成やニートの社会再参加、元会社員の独立初年黒字自営化など、幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。