ヴァカンス・シーズンが明けた最初の週末、パリの街の人の多さにびっくりしました。いやはや、もともとこれが普通だったのに、ヴァカンス中の静かなパリに慣れすぎていただけなのでしょうね。
さて今週も前回に引き続き、私がヴァカンスで訪れたロンドンについてのレポートをお伝えしていきます。
今回は、ヴァカンスの楽しみを大きく左右する「食」についてです。
信じられない味のするジャム・マーマイト
イギリス料理というと「不味い」というイメージが流布していますが、そのなかでも「びっくりするくらい不味い」と言われている、「MARMITE」(マーマイト)をご存じでしょうか?
私はロンドンに行くまでそのことを知らなかったのですが、スーパーで商品を見かけた旦那さんが「びっくりするくらい不味いらしいよ! 面白半分に試してみよう!」と、興奮して言うので、一番小さなサイズを購入することに。
蓋を開けてみるとあらわれたのは、黒い蜂蜜のような液状のもの。鼻を近づけてみると「うぐぐぅ」とうなってしまうような、あまり心地よくない妙な匂いがします。それでも、おそるおそるティースプーンの先っちょにわずかな量をとってなめてみると、塩苦いと形容しても足りないくらいの複雑すぎる味が……。蜂蜜やジャムの幸せな甘さとはほど遠い、苦痛を感じる食べ物なのです。
そんなマーマイト、驚くことにイギリスでは1902年の誕生以来、すっかり庶民に浸透したベストセラー食品のようで、食パンの上にバターを塗り、その上にこのマーマイトを薄く塗って食すのが定番の食べ方なんだそうです。
そうは言っても、イギリス人でも苦手な人はいるようで、マーマイトのキャッチ・フレーズは「Are you a lover or hater?」(あなたはマーマイト大好きな人? それとも大嫌いな人?)なのだとか。ビタミンなどが豊富なので、味が好きというよりも、健康食品として食べている人もいるようです。
私たちは一番小さいサイズを買ったにも関わらず、もちろん完食できなかったので、後にイギリス土産だといって色んなフランス人に味見をさせて楽しみました。意外にも義理母は気に入り、「Pas mal」(悪くないわねぇ)と言っていたのでそのままプレゼント。その後毎朝食べているようです。
サンドイッチの洗礼を受けた「ブロードウェイ・マーケット」
もう一つ滞在中に食べたイギリス料理は、「ハギス」です。聞いたことのない人も多いかもしれません。これはマーケットの屋台で買って食べました。
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