第34回】ASEAN地政学をシンガポールで学ぶプログラムがスタート

シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任した著者が、ASEANを中心としたアジアのホットな話題を提供する。


リークアンユースクールトップページより

鮮明になったASEAN志向

ASEAN(東南アジア諸国連合10ヵ国)の地政学を学ぶ、おそらく世界最高の日本人向けプログラムがいよいよ9月1日からシンガポールで始まる。その舞台は、国立シンガポール大学リークワンユースクール。マレーシアから斬り捨てられたシンガポールを、わずか50年の間に、人口当たりの億万長者の数が世界一というアジア一豊かな国に築き上げた国父リークワンユーが、その名をつけることを最初に許した組織だ。

今、日本の政府も企業もASEANへの関心を強めている。その背景にあるのが以下の3点だ。

・中国の賃金高騰 ・日中関係の悪化 ・ASEANの市場統合

中国はもはや賃金の安い国ではなく、賃金が高騰するペースは労働生産性が向上するペースより速い。また、日中関係の悪化が中国での生産や販売に大きな影を落としている。

一方で、人口約6億人、面積が日本の10倍あるASEANが提供する機会は増大している。シンガポールのように日本以上に人件費が高い国もあるが、それを除けばASEAN諸国の賃金は中国の半分から3分の1だ。経済成長のペースも急速で、10年後には日本のGDPに匹敵する規模になるだろう。しかも来年、ASEANは市場統合を目指す。税や規制が統合され、域内の人、モノ、金の動きが自由化されれば、ASEAN10ヵ国は一体の市場となる。外務省の調査によれば、ASEAN国民の9割が日本に好意を持っているという。その点でも、中国を抑えて最も重要なパートナーになるだろう。

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田村耕太郎「シンガポール発 ASEAN6億人市場が世界を動かす!」

田村耕太郎

世界最高の高等教育を誇るアメリカをはじめ、シンガポール、インド、中国、ヨーロッパ、そして日本は、グローバルで戦うために、いかに「知」を鍛えているのか。各界で国際的に活躍する人材は、どうやって自分を磨いているのか。各国の名門校で学び、世...もっと読む

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コメント

Y_U_femme https://t.co/zcCzxlPi19 1年以上前 replyretweetfavorite

kotarotamura ロコミだけで定員を大きく上回る日本の各界リーダーがシンガポールに集まり大成功 でした。 約4年前 replyretweetfavorite