chapter2-4 ウォーミングアップ終了

少しずつ恋愛テクノロジーを学び、僕は試行錯誤を繰り返していく……。

「かんぱーい!」1分後パブに到着した僕たちはさっそくビールで乾杯をした。

 ふたりが僕たちの仕事を聞いてきた。僕たちもふたりの仕事や名前を質問した。そして、ふたりはどうやって知り合ったのか聞いて、僕もどうやって永沢さんと知り合ったのかを話した。それによってわかった情報は、(1)メガネのほうは名前は真希で、仕事は自動車ディーラー店の受付をしている、(2)ワンピースのほうは名前は理香子で、仕事は宝石店の店員をしている、(3)ふたりとも短大卒で、学生時代にカフェのバイトでいっしょになってからの友だち、ということだ。

 街コンでは、お互いの仕事の紹介で10分間ぐらいは簡単に会話ができるということがわかってきた。さらに、どうやってふたりは知り合ったのか、を説明し合っていると、簡単に次の10分間ぐらいが過ぎていく。そうした会話から、相手の女の子との話題をふくらませるものが見つかることがある。

「いまどんな車が売れてるの?」僕は自動車ディーラー店で働いているという真希に聞いた。

「そうね。やっぱりまだハイブリッドが人気かな」

「僕は昔、回生ブレーキに関する特許に関わっていたことがあったんだ。回生ブレーキって知ってる? ブレーキをかけてるときに、バッテリーを充電するんだよ」

「聞いたことはあるんだけど、そういうのは営業の人が説明するんだよね」

「ブレーキをかけるってことは、それまで走っていた自動車を止めるってことだよね」

「ふーん」と真希。

「鉄の塊が走ってるってことは大きなエネルギーがある。それでエネルギーというのは必ず保存されて、形が変わるだけで失われることはないんだ」

「へー、そうなの」

「ふつうにブレーキをかけると、それは回っているホイールを挟んだ摩擦熱なんかで、熱に変わって外に逃げていくんだけど、回生ブレーキはそこで車の勢いを利用して、発電機を回して、バッテリーを充電するんだよ」

「なるほど、よくわからないけど、なんかすごそうね。そういえば回生ブレーキって、うちの営業の人が言ってたかも。わたなべ君って、なんでも知ってるんだね」

「こいつは本当に物知りなんだよ。まじめに付き合うなら渡辺みたいなやつがいいんじゃないかな」永沢さんが言った。

「ハハハ」と理香子が笑った。真希はニヤニヤしている。

 永沢さんが時計を見てから言った。「もう、3時59分じゃないか。あっという間に時間が経つな。約束通り、20分間のグループデートはこれでお終いだ」

「えっ、本当に20分間だけなの?」と理香子が聞き返す。

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ぼくは愛を証明しようと思う。

藤沢数希

恋人に捨てられ、気になる女性には見向きもされず、非モテな人生をおくる主人公のわたなべ。ある日、恋愛工学と出会い、彼の人生は大きく動き出す……。 ファイナンス、経済学、エネルギー政策に関する著作をもち、リスク・マネジ...もっと読む

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コメント

tomohiro1983 >タイム・コンストレイント・メソッド ふむふむ 3年弱前 replyretweetfavorite

satoshifuziwara 素直にめちゃ面白そう!次が読みたくなる文章テクニックも学べる(^_^) 3年弱前 replyretweetfavorite

kuniken_817 渡辺くんが華麗にステップアップしていく。。。> 3年弱前 replyretweetfavorite