磯崎新 12×5=60」—建築家の「建築以外」って?

今回ご紹介するのは東京・外苑前のワタリウム美術館で現在行われている展覧会「磯崎新 12×5=60」。建築家の仕事は図面をひくだけ? いいえ、ここに、ドローイングや音楽や映像とのコラボ、文章執筆など、「建築」というジャンルを大きく超えて活動を行った、1人の芸術家がいます。それが磯崎新。彼の「建築外的思考」を紹介する本展をとおして、「建築」の可能性にふれてみませんか?

建築界のビッグネーム、磯崎新による展覧会がはじまりました。とはいっても、彼の建築が実際に見られるということではありませんし、彼が手がけた建築の模型が並ぶような展示でもありません。なにしろタイトルからして、「磯崎新 12×5=60」という不思議なものですし、磯崎新の「建築外的思考」に焦点を当てるとうたっているのです。これはどんなものなのでしょう。わけのわからなさが、逆に興味を惹くようにおもいませんか?

そもそも磯崎新は、建築家として名を為してはおりますが、そのキャリアは建築設計だけに留まりません。というより、建築という行為やそれを通して得た考え方をもとに、さまざまな文化領域に手を伸ばすのが、彼の常套手段なのです。

ドローイングをはじめ美術作品を手がけることは多いですし、卓越した文章家であり、音楽や映像とのコラボレーションを数多くこなし、絵画や写真と自身の制作物を組み合わせることもしばしば。

磯崎が為してきた建築の外側での幅広い活動に対して、また建築という枠を超えた思想や営みについて取り上げて紹介しようというのが今展のねらいというわけです。ではどんなものがここでは見られるのでしょうか。中心となるのは、会場2階に設えられた、巨大な鳥小屋のような建築です。いったいこれは?

その名も《鳥小屋(トリー・ハウス)》です。これは通称で、建築名としては「軽井沢の書斎」の、実寸模型。磯崎本人が夏場に避暑地の仕事場としているものだそうです。ここにいるあいだは、建築家という職名から逃れている感覚があることから、今展の象徴として設置したのだそうです。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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