ブラジル人は体で、日本人は文字で恋愛する
林伸次(以下、林) 僕は、都内のブラジル人ばかり働いているブラジリアンレストランで2年間働いていて、そのあと2ヶ月、ブラジルに住んでいたんです。そこで思ったのが、ブラジルって草食系男子がいないんだな、ということ。
川崎貴子(以下、川崎) ブラジル人の草食系男子って、イメージできませんね(笑)。
林 いわゆるガリ勉っぽいタイプの男の人でも、ちゃんと女性に声をかけるんですよね。女性もみんな、セクシーであることを隠さないんです。基本的に女性は魅力的な存在であって、男性は積極的にアプローチするものと決まっています。そして、恋愛の駆け引きもすごく上手。すぐ「おれ、運命の女性に出会った。恋に落ちちゃったんだ!」みたいなことを言っては、大騒ぎして、振られて、また人を好きになってと、とにかく恋愛体質なんです。
川崎 ふふ、楽しそうですね。
林 日本人ってそういうの、慣れてないですよね。
川崎 はい、根本的に向いていないと思いますよ。
林 なのに、日本でも小説や映画は「恋愛最高!」という価値観がベースにあるラブストーリーがヒットします。そのせいで、「燃えるような恋をしなきゃ、それが人生の醍醐味だ」って思い込んでいる人が多いんじゃないかと思うんです。日本人に恋愛は向いていないと認めて、恋愛至上主義から抜けだしたほうがいいんじゃないでしょうか。
川崎 日本人に合うロマンチックとは何なのか、ということは考えたほうがいいかもしれませんね。それはきっと、ラテン系の人たちの恋愛とは違うはず。ブラジルの人たちのエロスって、バーンとオープンで明るいですよね。一方の日本人は、ビキニと和服の違いというか、ひっそり楽しむ隠微な感じが合ってると思うんですよ。
林 うん、うん。
川崎 だから、SNSってけっこう日本人の恋愛向きですよね。
林 ああー! そうかもしれない。
川崎 「この人の言葉選びがステキだな」とか「この写真、センスあるわ」とか「このコメント、心遣いが感じられる」と、面と向かわずにじわじわ探りあえる感じ。
林 たしかに、ブラジルってFacebookあんまり流行ってないらしいんですよ。
川崎 お国柄が出ていておもしろいですね。私いま、娘と百人一首を覚えてるんですけど、歌の中身がものすごく陰湿なんですよ(笑)。坊主から天皇まで、みんな女々しく恋心を詠ってる。内容的には現代のJ-POPで歌ってることとあまり変わらないと思います。月を見上げて、「会いたくて会いたくて震えて」るんです(笑)。
林 たしかに変わらないですね。僕も、いまの妻を口説くために、毎日ラブレターを渡してたんですよ。
川崎 すてき!
林 妻は、別にそれでほだされたんじゃないって言いますけどね(笑)。たしかに日本人はSNSとかメールの文字でやりとりするのがいいかもしれない。
川崎 よく、女性を褒めたり、エスコートしたりするといいって言いますけど、あれって欧米人の文化ですよね。もちろん、そういうのが悪魔的にうまい日本人男性もいますよ。でもそういう人は例外なのでさておき、一般的な日本人は無理なんじゃないかなと。だから、文字のやりとりはいいと思います。
林 うまく会話できない人でも、メールはできるって人も多いでしょうね。考える時間があるから。
川崎 私の友達の女性社長は、現実ではどうしても出会いがなくて、mixiで出会った人と結婚しましたよ。やっぱり社長となると、社員と付き合うわけにもいかないし、経営者仲間はみんな結婚してるしで、出会いがないんですよね。mixiで本の感想をやりとりしたときに考え方がすてきだな、と思って惹かれたんだそうです。そういうの、いいですよね。
林 でもなあ、僕に「いい人いないですか?」って聞いてくる、35歳くらいのバリバリのキャリア女子って、けっこう海外経験も豊富だったりするんですよね。そういう女性は日本人のその感じ、物足りなく思うのかもしれない。
川崎 呼吸をするのと同じくらい自然に、「今日もすてきだね!」と言える外国人男性と付き合ったことがある女性は、そうかもしれませんね。
「媚びる女が嫌いな男」は狙い目
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