恋の数だけハッピーエンドがある

ハーレクインの幸せなお約束

ハーレクインの登場人物たちの前には、いつも多くの障害が待ち受けています。しかし、最後はハッピーエンドで終わらせるがハーレクイン作品のお約束。本連載の最後をしめくくるのは、砂漠の王国を舞台にした政略結婚の物語。いろいろな苦難がありつつも、しっかりハッピーエンドとなりますよ!

【ハーレクイン豆知識:ハッピーエンド】

ハーレクイン作品のお約束は、「必ずハッピーエンドで終わること」! 今回の企画では様々な形のハッピーエンドをお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか。ハーレクイン読者は書店で、ラストのページを確認してから本を買う程ハッピーエンドにこだわりがあるのだとか。お気に入りのハッピーエンド がありましたら是非、本編も読んでみてくださいね。

【作品紹介】

『砂漠の姫君』

砂漠の王女ライラは逃げ出した。国を守るために。 亡き父王が決めた年寄りの暴君ではなく、 次期国王としてよりふさわしいと噂されるシーク、 ラズ・アル・ザーキと結婚しなければ、私にも国にも未来はない。 彼は噂以上の人物だった。ルックスも人格も、王としての手腕も。 国のため、という理由のみで夫婦となったふたりは、 掟どおり夜の閨をともにし、ライラは初めて歓びを知った。 しだいに芽生えていった夫への愛はしかし、悲しみと裏腹だった。 どれだけ情熱的な夜を過ごそうとも、彼女の愛が届くことはない。 彼はライラの一族に殺された妻を、いまも強く愛しているのだから。


天幕の中はむっとするくらい暑く、二人の距離があまりにも近いせいで、ラズの体温が伝わってくる。息がつまるばかりで、次になにをすればいいのか、ライラの頭には思い浮かばなかった。彼にキスをしたほうがいいのかしら?最初に行動に出るのは彼? それとも私? ひょっとして同時に?

知識のなさはごまかしようもなく、立ったままいつまでも自分を見つめているラズに、ライラはとまどいを感じた。すべてはあっという間にすむと思っていたのに、彼はゆっくりと時間をかけるようだ。その手が探索するように髪から頬へと移ると、彼女は落ち着かない気分になった。

下腹部が緊張し、脈が重々しく打つ。

視線をそらしたかったけれど、じっと見つめられているせいでそうすることができない。やがてラズの目が唇に向けられ、ライラはふたたび奇妙な感覚にとらわれた。

「それで、宮殿ではどんなことを夢見ていた?」

夢ですって? 毎日、生き延びるだけで精いっぱいだった。妹を守ることだけで。「なんの夢も見たことはないわ。現実に目を向けているほうが好きだもの。具体的な事柄に」

「将来に希望はなかったのか?」

「あったとしても、現在よりもましになっていてほしい、というくらいかしら」ラズは少しばかり顔をしかめ、親指でゆっくりとライラの顎を撫でた。

「人生は君にとってつらいものだったのか?」

なんと言えばいいの? たしかにそうだけど、彼のほうがもっとずっとつらいに違いない。父と愛する女性を失ったのだから。「でも、妹がいたわ」

ラズの口元にかすかな笑みが浮かんだ。「君ははぐらかそうとしているが、今は大目に見よう。僕たちの寝室に君の過去が入りこむ余地はない」

“僕たちの寝室”という言葉を聞いて、ライラの心臓が狂ったように鼓動した。ラズの手が髪に差し入れられ、彼の方に顔を向けさせられると、黒い目がじっと彼女を見つめていた。

「僕がすることでいやだと思うことがあったら、必ず正直に言ってくれ」

ラズの指示に従うのはとても奇妙な気がした。これからすること自体が好きになれるとは思わなかったからだ。やがて、ラズが身をかがめた。

なにかを予想して、ライラの体がこわばった。 官能的な曲線を描く唇が彼女の唇近くをさまよい、触れ合う瞬間を先延ばしにしている。こんなにも時間をかけるのは、なにか理由があるの? 女性の側に期待される、私がしなくてはいけないことがあるのかしら? ライラがそう考えはじめたとき、ラズは唇を彼女の唇に重ねた。

そのやさしさに、ライラは驚いた。ゆっくりとした慎重な動きは、まったく違う展開を覚悟していたせいで衝撃的でさえあった。同じくらい意外だったのは、突然胃のあたりが硬くなり、温かいものが全身を走り抜けて手足へと広がっていったことだ。

ラズの舌はライラの唇の間をなぞり、からかい、説き伏せてから開かせ、口の中を探索した。

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恋の数だけハッピーエンドがある

ハーレクイン・ロマンス

数々の恋愛小説を世に送り出し、女性たちに癒やしを届けてきたハーレクイン・ロマンス。なんと、これまでに出した全ての小説は必ずハッピーエンドを迎えるのだとか。今回はそんなハーレクインの日本上陸35周年を記念して、人気の35作品の見どころを...もっと読む

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