第33回】能力と意欲のある若者は、早くアジアへ出ていけ! ~ハーバード・アジア国際学生会議で叫ぶ

シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任した著者が、ASEANを中心としたアジアのホットな話題を提供する。

日本にいればいるほど価値が下がる

シンガポールからスカイプで、東京の前途ある日本の大学生たちに全力で叫んだ。「君たちは東京で何をやっているんだ?! 日本にいればいるほどアジアで戦えなくなるぞ!」と。

誰にでもこんなことを叫ぶわけではない。場所はハーバード大学が毎年アジアの都市で開催している、世界最大規模の学生の国際会議・HPAIR(Harvard Project for Asia and International Relations)。「学生版ダボス会議」と言われるものだ。

今年は9年ぶりに東京で開催され、慶應義塾大学がホストを勝ち取り、バイリンガルの慶大生を中心に準備が進められた。この国際会議の参加費は475ドル(約5万円)で、学生にとっては決して安くない。エッセイによる選抜試験もある。しかも会議は全編英語で、日本語でも簡単ではない深い議論が展開される。さらに開催時期は8月22日から26日で夏休み終盤の週末だ。

この国際会議にエッセイを書いて受験して、選出されて5万円を払い、週末をつぶして参加している日本の学生たちには、「それだけの能力と意欲があるなら早く日本から出て行け!」と言わなければならないと思っていた。

学生側も英語で世界中から集まった学生や識者と議論することは大変だが、私たち登壇する側もなかなか大変だ。前途ある世界中の優秀な若者に下手なことは言えない。私は彼らにどう思われてもいいが、彼らの大切な時間に彼らにとって学びになる貢献ができなかったら、非常に残念で申し訳ないと思う。

私は最初のパネルに登壇した。他のパネリストは日本企業の東南アジア進出をサポートするマッキンゼー東京の方とタイの有力銀行の上級副社長。経営コンサルタントとバンカーという、正確で論理的な議論ができる方々だったので、私は、他のパネリストと差別化するためにも、情熱一本で押すことにした。

「世界中から来た学生さんには釈迦に説法で申し訳ないが、私はここにいる英語ができて、優秀な日本人学生に言わなければならないことがある。早く日本からでていけ!」

「うるさい。日本に居たいんだ」という学生はどうぞご勝手にと思いながら、私はそう繰り返した。少しでも「このまま日本にいてはまずい」と思う感性を持っている学生の背中は押したいのだ。

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田村耕太郎「シンガポール発 ASEAN6億人市場が世界を動かす!」

田村耕太郎

世界最高の高等教育を誇るアメリカをはじめ、シンガポール、インド、中国、ヨーロッパ、そして日本は、グローバルで戦うために、いかに「知」を鍛えているのか。各界で国際的に活躍する人材は、どうやって自分を磨いているのか。各国の名門校で学び、世...もっと読む

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ruikiya |知のグローバル競争 最前線から|田村耕太郎|cakes(ケイクス) /上には上がいる https://t.co/v3l2Fgp8Up 約4年前 replyretweetfavorite

teabreak7 英語はあたりまえで、更に第3言語を習得させる気でいかねば! 4年以上前 replyretweetfavorite