馬場徹がいま輝いている3つの理由!
「つかこうへい最後の愛弟子」と呼ばれる熱き役者魂!
2010年に逝去した演劇界の巨人・つかこうへいの最後の愛弟子が馬場徹。つか演劇の若き看板役者として膨大な熱量の舞台を演じ切ります!
『ルーズヴェルト・ゲーム』ほかドラマでも活躍!
萬田役として出演した『ルーズヴェルト・ゲーム』は3話で退場するも、大反響を呼んで最終回に再登場しました。現在は『若者たち2014』に出演中!
ストレートプレイからミュージカル、怪談までこなす実力派
一般的なお芝居のみならず、ミュージカルや大衆演劇までこなす若き実力派として演劇界で認知されています。女形を演じたことも話題に!
視聴者からの嘆願を生んだ、熱演の裏側
—— 『ルーズヴェルト・ゲーム』出演おつかれさまでした。馬場さんが演じた、ピッチャーの萬田智彦役はとても反響が大きかったそうですね。もともとは3話までの登場予定だったところが、最終回でも再登場しました。
馬場徹(以下、馬場) そうですね。最終回に出させていただけることになって、ありがたかったです。
—— 3話のラストで萬田が野球部退部のスピーチを行うシーンは多くの人に強い印象を残したと思います。かなり長いセリフでしたよね。作中の萬田自身、手のひらにスピーチの言葉を書いていたのに、汗でそれが消えてしまって、緊張しながらもその場で言葉を考えながら野球部支持を訴える挨拶をしだす……という展開でした。
馬場 僕、今まで舞台の仕事が多かったので、長いセリフは苦ではないんです。でも、最近ドラマに出させてもらうようになったばかりなので、ドラマと舞台の表現の違いにすごく苦しめられたという部分は、正直あります。
—— 具体的にいうと、どういう部分なのでしょう?
馬場 どうしても表現がダイナミックになってしまうんです(笑)。パワーが余ってしまうんです。セリフを言うときも、ドラマの場合は、舞台であれば聞こえてるかどうかわからないぐらいの声の大きさがちょうどよかったりする。でも、監督が「思い切りやっていい」と言ってくださったので、あまり気にしすぎず、思い切りやるところは思い切りやって。あとは勉強させていただきました。
—— 共演者の方たちも多彩でしたよね。
馬場 本当に素晴らしいキャストの方たちが集まっていました。唐沢寿明さんはすごく野球部を大切にしてくれて、よく野球部員のキャストをご飯に連れて行ってくれたんですよ。「野球部がいないと俺たちの会社は上手く回っていかないんだ」って(笑)。(※)
※『ルーズヴェルト・ゲーム』は、中堅電子部品メーカー青島製作所のビジネス上の戦いと、会社の野球部のスポーツ上の戦いとが、絡み合いながら描かれる作品。
—— ドラマの中では冷たかったのに(笑)。
馬場 本当によくしてくれて、いろいろなお話をしていただきました。監督がけっこう厳しい指導をなさる方だったんですけど、唐沢さんから、怖気づかずに、ダメならダメでやるだけやってみればいいんじゃないか、とアドバイスをいただきました。撮影中は、それをそのまま実践した感じです。
サッカー少年から俳優の道へ
—— 『ルーズヴェルト・ゲーム』では野球選手の役でしたが、馬場さんが子どもの頃はサッカーをかなり熱心にやっていらしたそうですね。
馬場 はい、本当にサッカー少年でしたね。記憶にはないんですが、3歳の頃からボールを蹴っていたそうです。小学生になってからは、プロを目指してクラブチームでプレーしていました。小学生とはいえ、みんな本気だったので、プレー中にもお互いに削り合ったりするんです。
—— 削り合うというのは?
馬場 スパイクの裏で相手を蹴ったり、足を踏んだりすることで、ボールを奪おうとするプレーのことですね。それだけ激しい試合をしていたのもあり、僕は小学4年生の頃に全治1年ぐらいの大きなケガを負ってしまって、サッカーの道をあきらめることになりました。左足の膝の前十字と足首の靭帯とアキレス腱の剥離を同時にやってしまいまして。
—— うわぁ。
馬場 1年ぐらいリハビリしましたけど、手術をする覚悟はつけられなかったのもあり、もうプロを目指すのは無理だと感じました。そして、それまでサッカーをしていた時間があいたぶん、たくさん映画を観るようになりました。それで、もともと映画も大好きだったので、心機一転、俳優の道に挑戦してみようと思って小学6年生のときに劇団ひまわりに入ったんです。実はいとこがすでに入っていたので、じゃ、そこに行ってみようと。
—— 役者を志すきっかけになった映画はありますか?
馬場 『交渉人』という映画です。サミュエル・L・ジャクソンとケヴィン・スペイシーが主演で、すごくカッコいいんですよ。
—— 小学生にしては渋いチョイスですね(笑)。
馬場 初めて観た洋画だったんです。字幕とかもぜんぜんわからないんですけど、雰囲気がすごくよかったんですよ。親父が連れて行ってくれたんですけど、他にその映画館でやっていた子ども向けのアニメ映画にはぜんぜん興味が持てなくって、自分で『交渉人』が観たいと言った記憶があります。
—— それにしても、映画が好きな子どもは多いと思いますけど、いきなり演じる側に回ることができる子どもはそれほど多くないと思います。その原動力は何なのでしょう?
馬場 たぶん、僕は人から見られていないとダメなんですよ。緊張していないとダメなんです。サッカーでも、役者としても、人に見られているから、いいプレーをしよう、いいパフォーマンスをしようと思う。
—— プレッシャーがあったほうがベストのパフォーマンスができる?
馬場 プレッシャーが重ければ重いほど、それにどう太刀打ちしていくか考えますね。プレッシャーがないと、僕の人生じゃないような感じがするんです。
—— なるほど。それで俳優の道を志すんですね。
馬場 はい。小学生の頃は毎週のようにエキストラに行ってましたね。夏休みなんて毎日行ってましたから。朝5時頃にスバルビル前に集合するわけです(笑)。映画にもドラマにも行きました。とにかく、現場のピリピリした緊張感が大好きだったんです。
次回「無責任に頑張れた『テニスの王子様』時代」は、9月16日更新予定
構成:大山くまお 撮影:吉澤健太
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