氷川きよしは、まだまだ「演歌界の貴公子」です

武田砂鉄さんのテレビ評連載、今回取り上げるのは、先日マネージャーへの暴行容疑で書類送検された氷川きよしです。そんな醜聞が表沙汰になっても、氷川きよしは「演歌界の貴公子」いられるのでしょうか? そして、演歌界と政界の共通点とは?

まずは橋本聖子「無理チュー」問題から

その日の芸能ニュースを箇条書きで並べたサイトを眺めていたら、「無理矢理チューしようとした橋本聖子を嫌がった氷川きよしが、エレベーター内で暴行して書類送検された」とも読めたのだが、どうやらこれは別の案件だったようである。橋本の「外国の選手等との交流が多く打ち上げなどでは、ごく自然にハグやキスをすることがある」との弁解が成り立たないことは、極めて不自然に体を硬直させていた高橋大輔が体を張って証明してくれた。想田和弘監督のドキュメンタリー映画『選挙』に、自民党公認で立候補した市議会議員候補の応援に橋本聖子が駆けつけるシーンが収められているのだが、彼女がやって来た途端、関係者全員がわかりやすく引き締まっていくのが分かる。なにも説教を食らわすわけでもないのだが、上下関係で全てがまわっている組織において、先輩風の風力は生半可なものではない。「自然だよね?」(橋本)に対して、「セクハラやパワハラを受けたという認識はありません」(高橋選手の所属事務所)と答えるのは、映画『選挙』のワンシーンと同じく、先輩風の強制力を改めて見せつけたと言える。

「42歳、2人の子供を育てる若きパパ、元気に働きます!」

どの区分の選挙でもずらりと並ぶ選挙ポスターを見やると、とにかく若さをゴリ押ししてくる候補者が数人はいて、「フレッシュ改革!」とか「若さで全力、走りきります!」とか、何をどうしたいのかまったく不明瞭なのに、若さだけでひとまずどうにかするんだとぐいぐい押し切ろうとしてくる。政策には無頓着でもひとまず選挙に出向く層にはアレが効果的なようで、「フレッシュ改革!」はすっかり鮮度を失いながらも繰り返されていく。しまいには、「42歳、2人の子供を育てる若きパパ、元気に働きます!」(我が地元の市議会議員選挙より)なんてのも出てきて、普通にそれは中年ではないかと思うのだが、飲食店で客が残したパセリを再びお客さんに出すように、客に出せるギリギリまで「若さ」がリサイクルされているようなのである。

演歌と政治の共通点
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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takedasatetsu 各メディアが速報で「書類送検か」ではなく「示談成立か」と報じたのに違和感がありまして、ズンズンズンドコ踏みつぶされそうな 4年以上前 replyretweetfavorite