第32回】クラスター別に分かれたシンガポールの日本人社会~組織や肩書きを超えたフランクな交流を!

シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任した著者が、ASEANを中心としたアジアのホットな話題を提供する。


〔PHOTO〕gettyimages

海外で結束しない日本人たち

シンガポールの日本人社会は巨大だ。外務省の最新統計では2万7千人を超え、ロサンゼルス、上海、NY、バンコクに次いでシドニーと5位を争っている。アジアではバンコクに次ぐ大きさだ。

これは世界中の日本人社会に言えることだが、私の印象では、その内部がクラスター別に分かれている。海外での日本人社会という大きなくくりの中で、多くの人が家族や会社単位という非常に狭い世界に留まっており、せっかくのご縁を分断してしまっているように思う。

シンガポールの日本人社会は、大別すると以下のようなクラスターに分類され、それぞれがその中での交流に終始している。

・政府関係者・大企業駐在員クラスター
・起業家クラスター
・半引退富裕層クラスター
・ローカルスタッフ(外資系含む)クラスター
・留学生クラスター
・長期移民風クラスター

もちろん、各クラスターを自在に行き来する人もいないわけではない。だが、たいていは特定のクラスター内で交流し、他のクラスターとはほとんど交流がないようだ。

海外でこそ序列関係が浮き彫りに?

私も日本人なのでこうなってしまう理由はよくわかる。海外の日本人社会には、古典的な序列関係が固定化しているため、特有の難しさがある。特に最大クラスターである駐在員の社会がそうだ。大使を頂点に外交官、政府関係者、銀行、商社、大メーカーといったように、昔の日本社会の序列(昔の就職ランキング?)が、なぜか海外のほうがしっかり残っている。そのため、起業家クラスターや独立独歩の富裕層クラスターはこういう大企業駐在クラスターとの付き合いを避ける傾向にある。

サラリーマン社会の中では、企業の格だけでなく、さらにその肩書きによる序列が“空気の中”で共有される。起業家や富裕層は、そもそも独立意識が強く、サラリーマンに見下されるのが嫌いだから、「わざわざチャンスを求めて海外までやってきたのに、そこで大企業サラリーマンに上から目線で見られてはかなわない」というところが本音だろう。

私もサラリーマン出身なのでその気持ちがよくわかる。ただ、シンガポールの大企業駐在員クラスターの方々と交流してみて、時代も感覚もだいぶ変わってきていると感じている。いろんな人がいらっしゃるのだろうが、いい意味で、非常にくだけた、オープンな方々が多い。

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田村耕太郎「シンガポール発 ASEAN6億人市場が世界を動かす!」

田村耕太郎

世界最高の高等教育を誇るアメリカをはじめ、シンガポール、インド、中国、ヨーロッパ、そして日本は、グローバルで戦うために、いかに「知」を鍛えているのか。各界で国際的に活躍する人材は、どうやって自分を磨いているのか。各国の名門校で学び、世...もっと読む

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helloasiasing あなたはシンガポールではどのクラスター!?! ウチラみたいのがないんだけど。。シンガポール生まれのハーフクラスター♡ 詳しくは↓ https://t.co/5iiS54APII #シンガポール #singapore http://t.co/DnXakOotF7 3年以上前 replyretweetfavorite