人生を変える本に出会うためには
加藤崇(以下、加藤) 5月に、母校である早稲田大学の生協書籍部で、僕が選んだ本をずらっと並べて「早大生に贈る、一打逆転の人生」というキャンペーンをやらせてもらったんです。ここ数年に読んだ本で、勉強になった本を紹介させてもらいました。
—— おお、どんな本を紹介されたんですか?
加藤 まずは『Founders at Work:33のスタートアップストーリー』。有名ベンチャーキャピタル Y Combinatorの創業者、ジェシカ・リビングストンが自分自身を含めた33人のスタートアップ創業者にインタビューした本です。編集はすごく荒削りなんですけど、とにかく内容がすばらしい。もう、こんないい本は世に出ないんじゃないかと思うくらいです。
あとは『The New New Thing : A Silicon Valley Story(邦題:ニュー・ニュー・シング)』。シリコングラフィックス、ネットスケープ、ヘルシオンと業界を変えるベンチャーを次々と生み出していったジム・クラークの起業家人生を、マイケル・ルイスが書いた一冊です。本当にこの本は、若い人の人生をまるっきり変えるほどのインパクトがあると思いますよ。
『BUSINESS AS UNUSUAL(邦題:ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス)』もいいですね。ザ・ボディショップを立ち上げたアニータ・ロディックの著作で、この本こそは「起業家精神」という形のないものを理解するのに最適な一冊だと思います。
—— どれもすごくおもしろそうですね。
加藤 ところが、これらの翻訳本は全部絶版になっているんですよ。もったいないですよね。だから、生協で本を並べてもらったけれど、店舗では買えなくて。興味がある人は中古で買うように、と書き添えました。いまの本屋さんって、新刊本ばかりが並んでいて、こういう少し前の良作ってあんまり置いてないんですよ。プロモーションをかけたい新刊本ばかりが並んでいる気がして、ちょっと残念です。
—— そうかもしれません。
加藤 あとおすすめは、前回ふれた『iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business(邦題:スティーブ・ジョブズ-偶像復活)』に、『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』。ハッカーの考え方についてのエッセイ『ハッカーと画家:コンピュータ時代の創造者たち』はちょっとトリッキーですけど、おもしろいです。
『ジェネンテック-遺伝子工学企業の先駆者』はバイオ系のベンチャーの創業記で、起業やハード系のベンチャーをやりたい人にとっては必読書ですね。これまた翻訳本は絶版になってるので、中古で買ってください(笑)。
—— 起業家の本が多いですね。
加藤 やっぱり、起業家の本を読んで勉強するのは、資本効率がいいんですよ。ハーバードのMBAをとりに行くと、2年間で2千万円くらいかかりますよね。でもこれらの3千円もしないような本を読んで、あとは体当たりでベンチャーを創業すれば、ハーバードのビジネススクールに通ったくらいの勉強ができると思います。
—— こういった本は、どうやって見つけ出しているんですか?
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。