第3回】代打ち時代に経験した修羅場

怒らず、焦らず、迷わず、生きる――。「20年間無敗」の伝説をもつ著者の強さの源泉となっている「揺れない心」。絶賛発売中の『揺れない心 本当の強さを身につける作法』では、勝負哲学の鍵を握る「平常心」を軸に、「不安」「怒り」「焦り」「落ち込み」をなくす心と行動の作法が、48に分けて解説されています。本連載では、そのエッセンスをご紹介。第3回となる今回は、裏プロ時代に実際に経験した修羅場についてです。


 私がかつてやっていた代打ちは、一般の人にはあまり馴染みのないものだろう。一昔前、政治家や企業、あるいは裏の組織が多額の金銭や利権を賭けて争う際、その決着を麻雀の勝負でもってすることがあった。

 そのとき、彼らの代わりに麻雀を打つことを代打ちといった。いってみれば裏プロだが、この勝負が表の世界に出ることはまずない。

 表に出ないのは、簡単にいえば表に出ると当然まずいものだからだ。それゆえ、その場で動く金銭や利権といったものは、世間の一般常識から逸脱したケタ外れのものが多かった。

 だが、それだけのものを背負って勝負するとなると、勝っても負けても大きな危険を伴う。負ければ過酷な落としまえをつけられるし、勝てば勝ったで命を脅かされかねない。

 そんな危険を顧みず、裏プロの世界に私が足を突っ込んだのは、ただ強い相手と闘えるという純粋な喜びをそこに見出していたからだ。裏側にどんな悪漢がいようが、私はただ身ぶるいするような真剣勝負ができれば、それだけで満足だったのだ。

 もちろん、それは満足だけでは済まされず、幾多の修羅場を経験することになった。

 いまから振り返れば、修羅場といっていいものか少し迷うところもあるが、こんなこともあった。

 ある晩、歌舞伎町の雀荘で閉店まで遊び、自宅に向けて歩いて帰ろうとしたとき、背後から車がすーっと寄ってきて、あれっと思う間もなく車から降りてきた4人の男に両脇から羽交い締めにされた。両側から硬く冷たいものを突きつけられ、身動きができない。車に押し込まれた私は、目隠しをされ、2時間ほど走ったところで降ろされた。そこは小高い山の森の中であった。

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この連載について

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揺れない心 本当の強さを身につける作法

桜井章一

「20年間無敗」の伝説をもつ著者の強さの秘密はどこにあるのか?  勝負哲学の鍵を握る「平常心」を軸に、「不安」「怒り」「焦り」「落ち込み」をなくす心と行動の作法を48に分類して解説する。

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コメント

abm この体験談怖いよ。。 3年以上前 replyretweetfavorite

fka_shanghai いつの間にかこんな連載が。今まで読んだこの人の武勇伝の中でもピカ一のウソくささ!w 3年以上前 replyretweetfavorite

kadokawaone21 桜井章一流の修羅場の作法をご紹介!→ 3年以上前 replyretweetfavorite