第31回】ベネッセ事件から考える個人情報との付き合い方

ライターの九龍ジョーさんを迎えた時事放談、今回取り上げるのはベネッセの顧客情報流出事件。そのリストを買ったライバル企業が、客にDMを送ったことで発覚したこの問題。企業の個人情報の取り扱いだけではなく、個人が個人情報とどう向き合っていくべきかについて話していきます。プライバシーとは、どこまで守られるべきものなんでしょうか。

8月3週目のおもな出来事
・米俳優ロビンウィリアムズ氏死去、自殺か(8月12日)
・「100〜1000人の子」を計画 邦人男性(24)のタイ代理出産(8月14日)
・『マクドナルド』国内全店禁煙に 子連れ客増狙う(8月15日)
・料理長主導か 木曽路の牛肉偽装表示、社長が謝罪(8月15日)
・ローラの父親、処分保留で釈放「パパもうだいじょうぶだから」(8月16日)

ゆりかごから墓場までついてくる顧客情報

速水健朗(以下、速水) 7月の事件ではあるけど、ベネッセの顧客個人情報漏えい事件については、話しておきたい。いや、ベネッセの事件が重要だっていうことではなくて、個人情報ビジネスとは何かというのは重要なテーマだからね。さて、この事件の概要は、グループ会社の社員がベネッセから支給されたパソコンのデータベースにアクセスし、個人情報を自分のスマートフォンにコピーして業者に売ったと。その数およそ2,260万件。

九龍ジョー(以下、九龍) ベネッセにとって住所や年齢といった個人情報は商売の生命線ですからね。それをハシた金で転売されたら、たまったもんじゃないでしょう。

おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 金額にして名簿業者3社に計403万円という報道もありましたけど、容疑者はその売ったお金を借金の返済にあてたらしいですね。備品とか会社の物をこっそり盗む人っていうのはどこにでもいますが、さすがに個人情報はレベルが違いすぎる。

速水 この問題って、オレオレ詐欺の危険性がこれだけ周知されたにも関わらず、被害額はむしろ増えていることとか、スパムメールなんて誰も読んでないにも関わらず一向に駆逐されないこととか、アムウェイのようなマルチ商法が繰り返し繰り返し浮上してくることとか、すべて同じ問題に見えてくるよ。

おぐら 事件のあと、ベネッセのホームページを見てみたらトップ画面に大きくお詫びの表示が出ていて、経緯の説明はもちろん、寄せられた質問に答えたりしていまして。そこで具体的に何が漏洩したのかも書いてあって、名前・住所・生年月日・メールアドレスのほかに、子供の生年月日もあって、一部の人については「出産予定日」と。ここにビジネスの匂いというか、具体的な市場の需要が感じられますよね *1
*1 弊社グループ会社業務委託先元社員のスマートフォンに保存されていた情報の弊社鑑定結果のご報告

九龍 あからさまなアンケートには警戒するけど、例えば「占いサイト」とか「あなたの○○を診断します」みたいなウェブサービスを装ってると、生年月日ぐらいはわりと抵抗なく入力しちゃう人も多いですからね。

速水 ベネッセやネットの「この答えが知りたかったら登録してね」系サービスに限らず、個人情報をとる手口は洗練されてる。遊園地とかでプレゼントがもらえるっていうと当然子どもは欲しがるわけだけど、後日郵送されてくる仕組みなの。もちろん、特定年齢の子どもがいる家庭の住所を獲得するためのキャンペーン。一度取った個人情報は、数年経って小学校に入るタイミングで送られてくる教材の売り込みになったり、その後もずっと追いかけてくる。

おぐら すごい! ある意味、徹底した情報管理ですね。一度覚えたら絶対に忘れないぞ!っていう。

九龍 だからこそ今回の件は、これまでもあった他の企業の顧客情報流出とは深刻度が違う。何十年と継ぎ足してきた秘伝のタレで食中毒起こすようなもので。商売の根幹にかかわってくる。

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おぐらりゅうじ /速水健朗

政治、経済、文化、食など、さまざまジャンルを独特な視線で切り取る速水健朗さんと、『TVブロス』編集部員としてとがった企画を打ち出し、テレビの放送作家としても活躍するおぐらりゅうじさん。この気鋭のふたりのライターが、世の中のニュースを好...もっと読む

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コメント

KeKKero  ロリコン犯罪者にチップ埋め込むでしょ、で、行動をトレースして頻繁に幼女が多い地域に行くようになったら警告!店頭の視線監視システムでストーカーも見抜く!プリコグ!! 2年以上前 replyretweetfavorite

s_1wk ベネッセ事件から考える個人情報との付き合い方| 「だからこそ今回の件は、これまでもあった他の企業の顧客情報流出とは深刻度が違う。何十年と継ぎ足してきた秘伝のタレで食中毒起こすようなものですよ」 2年以上前 replyretweetfavorite