究極のじゃが×バター
前回の北海道編の続き。ラーメンのあとの午後は中心部からバスで1時間弱の札幌芸術の森へ。ゆっくりと散策し、夕暮れ頃、戻ってきて、まずは大通公園でたまたまやっていたプレミアムモルツのビアガーデンに。雰囲気にのまれているだけかもしれないが、きれいな空気の中で飲むビールはやはり旨い。けっこうな席数があったにもかかわらず、大賑わいだった。札幌だけにサッポロビールのお膝元かと思いきやというのは冗談だが、サントリーのプレモルも大繁盛でござんした。
そして喉を潤したあとは、これまた訪問を楽しみにしていた居酒屋「味百仙」。札幌駅の少し北、いくつか飲食店が入ったビルの地下一階にある。6時前と早めの時間ながら、店内はすでに大賑わい。期待感が高まる。一番の目当ては、ずいぶんと昔に「美味しんぼ」でも紹介されていた「じゃがいものバター煮」なのだが、楽しみはあとに置いておいて、地の食材のメニューを中心に注文。澄んだ味が印象的だったミズ(という東京ではあまりみかけない野菜)のおひたし、白身なのにプリプリのおひょう(というヒラメのような魚)の刺身などなど、北海道の味覚を味わった。
さらに何皿かぱくぱく食べているうちに、お待ちかねのじゃがいものバター煮が登場。美味しんぼの中では、じゃがいもが嫌いな中松警部に(主人公の)山岡士郎が作ったのがこの料理という設定になっており、調べてみると67巻とのこと。まだ、このマンガがぎりぎり面白いと言えるあたりのようだ。そしてこの料理、シンプルで上品とはまさにこのことで、鮮烈な印象を舌に残してくれた。じゃがバターという言葉が一般的なだけあって、じゃがいもとバターの相性がいいのは周知の事実。ただ、屋台あたりで食べるものは味が濃厚すぎて、全部食べるとなかなかおなかにきてしまう。皮を剥いたじゃがいもをつけた出汁にバターをいれて、じっくり4~5時間煮こむというのが、このメニューの調理法。ほろほろになったじゃがいもにうっすらとバターの風味が沁みわたっているのが実にたまらんのです。ここに木の芽がのって、もうカンペキなハーモニー。和洋問わず、自分の好きな料理の方向性を体現する一品だった。ここで出会えたことに感謝。
長年支持されているものが醸す雰囲気
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