前編】わたしに協調性なんてないと思っていた

歌手、女優、そして作家として独自のキャリアを重ねているCoccoさん。主演映画「KOTOKO」が海外の映画祭で高い評価を得て、今年1月に挑んだ主演舞台『ジルゼの事情』。バレエの『ジゼル』を土台に、笑いあり、涙あり、歌あり、踊りありの賑やかな舞台は、全公演即日完売で、大きな話題を呼びました。その『ジルゼの事情』の9月の再演を記念して、Coccoさんに胸のうちを伺いました。前編は、「がんばれ」という言葉がしんどかったCoccoさんが、この舞台では「がんばれ」を健やかに受け止められるようになったというお話です。東京関西公演のチケットのお求めはこちらの特設サイトをご覧ください。

がんばれ、がんばろうって言い合える健やかさ

— 舞台「ジルゼの事情」が9月に再演するということで、おめでとうございます。

Cocco どうもどうも。

— 今年の1月に東京14公演、大阪6公演で主演をやってみて、手応えはいかがでしたか?

Cocco 大阪(のリアクション)はすごかった。

— やっぱり東京と大阪でだいぶ違うんですか?

Cocco 大阪はみんなツッコんできたの。

— 客席から舞台に向かってですか?

Cocco そうそう。「そこか―い!」とか。言葉でツッコんでくるのがおもしろいなって。東京はもっと団体で笑ったりとか、「はあ〜」ってため息ついたりとかだけど、大阪では1人1人が「死んでないんかい!」とかっていうツッコミをいれてきたという。

— 楽しくやれましたか?

Cocco わからないなあ。舞台から落ちないようにするのが1番大事です。

— 舞台上を駆けまわりますもんね。舞台を重ねるごとに芝居は変わっていきましたか?

Cocco 変わるし、休み明けはガタガタ(笑)。1日2公演が続くと、みんなデジャヴみたいになってきて、さっきこのセリフ言った気がするな、みたいになりました。まだやってないところも、もう終わった気がするみたいな。だからみんなで順番確認しながら、次はシーンどこどこだって、そこまだやってないって確認してましたね。

— 昼夜公演もあったんですもんね。大きなNGとかは? セリフ飛ばしちゃったとか。

Cocco 覚えてないの。流れだからね。だけど、1番いいイメージが残ってるのは、責任をみんなでちゃんと分担してる感じかな。

— 責任を分担ですか。

Cocco 音楽は、デビューしてからずっとソロだから。ライブではミュージシャンもスタッフもいつもいてくれるけど、結局はいつもひとりで背中押されて出る。船の先っちょでみんなを引っ張るのは自分で、わたしの歌が止まったら進まないし、代わりに歌う人がいない。もちろん引っ張ってもらえることもあるけれど、責任はひとりだった。

— 歌い手の責任が一番大きい。

Cocco 「がんばってね」って言われても、スタッフも誰も直接は助けれないでしょう。だけど、お芝居って、ここのテーブルの上にあるものをみんなで片付ける場面では、誰かがコップを持って、ふきんを持って、みたいな分担がちゃんとある。誰かがふきんを忘れたら、誰かが助けに行ける。

— 確かに主演とはいえ、共同作業ですね。

Cocco ライブはとにかくわたしが歌わないと、1曲目が終わらないし2曲目も始まらないしってなるけど、お芝居ってすごいチームプレイだよね。サッカーとか野球みたいな。バスケット、バレーボールみたいな。わたしがもしセリフを飛ばしても、誰かがお芝居を回してくれる。みんなに「がんばれ」って言われても、他のキャストもがんばらなきゃいけないわけです。

— 「がんばれ」っていう言葉はCoccoさんにとって、つらい気持ちになることもあるということを以前に仰ってましたけど、今回はポジティブに受け止められた。

Cocco うん、みんなと「がんばれ」「がんばろう」って対等に言い合える。何かすごく健全な感じでしたね。

わたしすごい協調性あるんだ!って気づいた

— 本格的な演技は、塚本晋也監督の映画『KOTOKO』で初めてだったと思うんですけど、映画と舞台では演技は違う体験ですか?

Cocco 映画は監督のものだから、カットがかかったらそこで終わりだし、もう1回って言ったらもう1回やらなくちゃいけない。でも、舞台はみんなでなんとか止まらないように回していく。練習でどんなに「ここ間をとって!」とか、「ここは右から回って」って言われてても、本番で左から回ってしまったら、もう誰も何も言えないでしょ。そしたら、みんながその後どう回すかっていうのを機転を利かそうとする。とっさのチームプレイがあるよね。

— 次の舞台ではこうしたいっていうイメージはありますか。

Cocco この間は、小さいところだったから見られない人があまりに多かった。いっぱいお手紙をもらったし、行ったけどチケットが取れなくて入れなかったとか聞きました。だから、今回はみんなが見れるように、大きいところだってことで。

— 場所が池袋のサンシャイン劇場で、規模が大きくなるんですね。

Cocco だから、次は誰も断らないで、見たい人がみんな見れるようになればいいなっていうのが次の目標ですね。

— 歌を歌われるときは、ご自身のことを「筒」や「ストロー」みたいなもので、歌はそこを通ってくるけれど、その種類はコントロールできない。文章を書くときは、「相手を知る」とか「物事を知る」作業だ、っていうことおっしゃっていたんですが、演技をして気づいたことはありますか?

Cocco うーん。お芝居をやって思ったのは、自分にすごい協調性があると思ったことかな。

— ということは、もともと自分は協調性がないと思ってたんですね。

Cocco ない。出かけたり、旅行に行っても、1人で動くタイプだし、トイレもみんなで行こうって誘われても1人で行きたい方だから。

— わりと単独行動が多い。

Cocco そう学校とかも大変だった。それに毎日同じ時間に同じ場所に行くっていう生活をここ何十年もしてなかったから、果たしてできるのかって心配してて、でも、今回はちゃんと集合時間に行って、皆勤賞だったから、わたしすごい協調性あるんだ!って(笑)。

— 今回、ばっちりCoccoさん主演ですけど、感覚としては自分の作品って感じですか? ご自身の活動では、どういう位置づけですか?

Cocco うーん、参加型……?

— 今流行のやつですね。

Cocco そうなの?

— はい。たぶん。

Cocco じゃあ、その流行りに乗ろう(笑)。劇団鹿殺しに参加型!


次回「愛される役ってすごくいい」は、8月22日公開予定

構成:中島洋一 撮影:喜多村みか



OFFICE SHIKA × Cocco「ジルゼの事情」

東京公演 2014年9月18日(木)~23日(火祝) 
サンシャイン劇場 関西公演 2014年9月27日(土)~29日(月) 
新神戸オリエンタル劇場 e+、ぴあ、ローソンチケット、カンフェティ(東京公演のみ)にてチケット好評発売中!
公演詳細・お求めは特設サイトから


この連載について

毎日、愛されるのって楽しい—Cocco「ジルゼの事情」再演記念インタビュー

Cocco

歌手、女優、そして作家として独自のキャリアを重ねているCoccoさん。主演映画「KOTOKO」が海外の映画祭で高い評価を得て、今年1月に挑んだ主演舞台『ジルゼの事情』。バレエの『ジゼル』を土台に、笑いあり、涙あり、歌あり、踊りありの賑...もっと読む

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sinka333 『ジルゼの事情』再演記念・Coccoインタビュー http://t.co/kZol8BWcaB 【後編】愛される役ってすごくいい http://t.co/1Eymdko5e3 2年以上前 replyretweetfavorite

infinity0105 ロッキンオンジャパンのコテコテのインタビューとは違う軽やかな感じが新鮮。 >> わたしに協調性なんてないと思っていた| 2年以上前 replyretweetfavorite

senahatetsuya 舞台見に行きたいな。 2年以上前 replyretweetfavorite

hydeawey 毎日、愛されるのって楽しい——Cocco「ジルゼの事情」再演記念インタビュー https://t.co/Nk9gYpB07k 2年以上前 replyretweetfavorite