オリーブ』の「聖少女」願望

『ユーミンの罪』が好評の酒井順子さんが、雑誌『オリーブ』とその時代、女の子達に与えた影響を分析します。今回は、同誌が目指した「少女」のありかたについて振り返ります。
この連載に、新たな書き下ろしを加えた『オリーブの罠』 (講談社現代新書)が発売されました。マーガレット酒井先生が復活する「元オリーブ少女&少年の面接時間」全4回も収録! オリーブの罠、とは何だったのでしょうか?

女としての身体性を極力隠す

 『オリーブ』のファッションを眺めてみれば、“男に媚びない感じ”は、一目瞭然です。まずオリーブファッションは圧倒的に、露出度が低い。だぼっとしたオーバーシルエット、幾重もの重ね着。盛夏でも長いスカートやゆったりしたパンツがコーディネートされがちで、短いスカートから脚をむき出しに、といったスタイルは滅多に見られません。

 巨乳のモデルも、『オリーブ』では存在しませんでした。外国人モデルもそうでしたし、栗尾(現花田)美恵子さんにしても、凹凸は少ない体型。胸が大きい、すなわち女性性が高いモデルだと、少女の無垢さ、処女性が隠れてしまうのであって、胸の谷間が見えることもなかったものです。

 夏の水着特集の時も、『オリーブ』ではビキニだけでモデルが立っていることはありません。おしゃれ至上主義の雑誌としては、水着だけではファッションページにはならないという事情もあったのでしょうが、水着の上に布を巻いたり重ね着したり、はたまた水着なのに靴下をはいていたりと、「おしゃれすぎて図らずもエロいのではなかろうか」と思わせるコーディネートが見られるのです。
 一九八八年の第百三十三号は「はだかのオリーブ」という特集であり、大胆なことに外国人の女の子の上半身裸の写真が表紙なのですが、彼女がまた見事な胸ペタ。幼女性愛の人しかグッとこないであろうと思われる姿です。

 ボディコンすなわちボディをコンシャスするファッションも、当然ながら排除されています。数年前、ゆるめのワンピースを着てふわふわした雰囲気をまとった「森ガール」という言葉と存在が流行しましたが、『オリーブ』においては創刊当時から、女としての身体性を極力隠すかのような、森ガール的ファッションばかりが載っていたのです。
 ファッションページのロケ先としても、森や花畑は頻出。森や花畑には、露出度の高い服や身体にぴったりと密着した服は似合いません。そこは色気とは最も縁遠い場所なのであり、少女モデル達は重ね着をして身体のラインを隠し、顔と手以外の肌は露出させないという、平安時代の女性のような佇まいで写真に収まっていたのです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
オリーブ』の罠

酒井順子

『ユーミンの罪』が好評の酒井順子さんが、雑誌『オリーブ』とその時代を振り返ります。この連載に、新たな書き下ろしを加えた『オリーブの罠』 (講談社現代新書)が発売されました。マーガレット酒井先生が復活する「元オリーブ少女&少年の面接時間...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

mouinoshishi バブルの時代はリアルの女子とオリーブのファンタジー世界のかい離が顕著だわね…  4年以上前 replyretweetfavorite

3FILMS 80年代論が盛んになってくれるとうれしい。 4年以上前 replyretweetfavorite