人の話を聞く

重度の自閉症を抱えながらも、社会を鋭く見つめている作家・東田直樹さんの連載です。
落ち込んだ時、傷ついた時、私たちは、いったいどのようなことを求めているのでしょうか。そのような人に、私たちは、何ができるのでしょうか。最後の一行に思わずハッとさせられる、今週のコラムです。

同時掲載のインタビュー記事「自閉症者の困難も、家族の愛情も、国が違っても変わらない。」も、合わせてご覧ください。

 自分にできないことをできる人を見ると、うらやましいと感じます。それは、他の人も同じではないかと思います。

 話すだけではなく、買い物や乗り物に乗ることまで、普通の人が社会生活を営む中で当たり前にやっていることすら、僕には援助が必要です。
 小さい頃から、どうして自分だけ、こんなにもできないことが多いのか、みんながスーパーマンのように見え、僕はいつも落ち込んでいました。

 僕がつらかったのは、できないこと以上に、できない気持ちをわかってもらえないことでした。
 わかってもらって何かをしてほしいわけではありません。

 相手に共感するという気持ちは、誰もが簡単にできるはずなのに、最も難しいものではないでしょうか。
 なぜなら、相手の気持ちを考えるだけではなく、そこに自分の気持ちを重ねてしまうからです。

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この連載について

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跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

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コメント

show6volta 「その人の立場に立った時、困難にくじけてしまう自分を、思い描きたくはないでしょう。だから、アドバイスだと言いながら、自分が主人公になった物語を創作してしまうのだと思うのです。」| 3年以上前 replyretweetfavorite

ony_g 人は、相手の思いを想像したあと、自分ならどうするだろうと考えてしまいがちです。その人の立場に立った時、困難にくじけてしまう自分を、思い描きたくはないでしょう。だから、アドバイスだと言いながら、自分が主 3年以上前 replyretweetfavorite

COPYLEFTshop これ今偶然見てるけど、すごく興味深い。素晴らしいなぁ。 3年以上前 replyretweetfavorite

rihitoendo 「僕は、相手のためだという理由で、好き勝手な意見を伝えるよりは、その人の悲しみや苦しみに、ただ寄り添うほうが、大切なこともあると感じています」 3年以上前 replyretweetfavorite