生まれて初めて「ポ——!」って言っちゃった!
「音楽で世界を変える」ということ!
イラスト:長尾謙一郎
柴那典(以下、柴) おかげさまで、この連載、かなり反響がありまして。
大谷ノブ彦(以下、大谷) 実はね、この対談がきっかけでフジテレビの深夜番組の司会が決まったんです。
柴 なんと! マジですか?
大谷 「ほんとは音楽番組やってもらいたかったんですけど、人生相談になっちゃいました」って言われて。でも、バックでかかってる音楽は全部僕が選曲しました。
柴 素晴らしいですね。オススメ曲を語り合った甲斐があった。
大谷 そうなんです。そういうわけで、さっそく今回も始めましょうか。
柴 前回が2014年の春までに出た曲だったんで、今回はその後、7月くらいまでに出た曲を紹介していきましょう。
柴那典の1曲目→ピットブル
「ウィー・アー・ワン (オーレ・オーラ) feat. ジェニファー・ロペス & クラウディア・レイチ」
「We Are One (Ole Ola)」Pitbull
2014/05/16UP 236,830,833play(2014/08)
柴 もはやワールドカップの熱はだいぶ冷めてきてしまっていますが、手遅れにならないうちに、この曲の話からしたいです。ピットブルのブラジルW杯大会公式ソング。僕、この曲、相当好きなんですよ。ワールドカップ関連ソングは毎回いろんな曲が出てくるんですけれど、これはかなりいいと思います。
大谷 いやあ、ポップスってこういうことですよね。ラテンのノリが軽薄さと相まって盛り上がる。
柴 ほんと、そうですよね。しかも、ピットブルって、顔がどことなく性器っぽい(笑)。
大谷 ははは! チンポ顔だ(笑)。
柴 彼自身も、別の曲のラップの中で「俺の黒光りするこのルックスが」とか言ってるし。
大谷 サマーソニックにピットブルが来てた時もすごかったですからね。ドレスアップしたお姉ちゃんが盛り上がってて。あの時にリアーナがトリで来てたんですけど、あの場の空気に押されて、生まれて初めて「ポ——!」って言っちゃいましたもん(笑)。
柴 ははははは!
大谷 これほど景気のいい曲はないですよね。
参考:テンションが上がるPitbullの曲まとめ - NAVER まとめ
柴 しかも、今回のワールドカップって、アメリカが盛り上がったって言われてるじゃないですか。
大谷 確かに。サッカー不毛の地とか言われてたけど、今や全然そんなことなくなってる。
柴 実はこの曲、それに一役買ってるんじゃないかと思ってるんです。ピットブルはマイアミ出身で、まさにアメリカのプエルトリコ系とかに人気のミュージシャンなんで。
大谷 なるほど。音楽がアメリカのサッカー人気まで左右してる。それはおもしろい。
柴 あと、やっぱりこの曲がすごいのは、ラテンの二拍子のノリと四つ打ちを融合させてるところだと思うんですよね。「♪ズンッタ、ズッタ」っていうレゲトンのリズムとEDMのビートを合体させてる。
※ レゲトン:プエルトリコ発祥の音楽ジャンル。00年代中盤に、ダディー・ヤンキーなどのブレイクでアメリカで大ブームとなる。
※ EDM:「Electronic Dance Music」の略。基本的にはデジタルなダンス・ミュージック全てを指す言葉だったが、近年では四つ打ちのビートにポップなメロディを乗せたスタイルの音楽が世界的に流行している。
大谷 なるほど。新しいことをやってるんだ。
柴 実はすごい発明のある曲なんですよ。今は日本のロックバンドだと四つ打ちが多くて飽和状態にあるってよく言われるんですけれど、こういう曲を聴くと、まだまだ四つ打ちでもやれることってたくさんあるなって思う。
大谷 こういうことができる日本人、出てきてほしいですよね。しかもピットブルみたいに男汁満載のヤツ。
柴 ははは! ほんとそうですね。
大谷ノブ彦の1曲目→クイーン「ザ・ショー・マスト・ゴー・オン」
「The Show Must Go On」Queen
2013/10/15UP 487,932play(2014/08)
大谷 じゃあ、続いては僕の一曲目は、クイーンの名曲。
柴 おお! サマーソニックで来日しますね。
大谷 そう。今年で15周年のサマソニ、そのヘッドライナーがクイーンなんです。アダム・ランバートがボーカルをやるんですけど、それもオーディション番組の『アメリカン・アイドル』でクイーンの曲を彼が歌ったのがきっかけで。ブライアン・メイが「こいつめちゃくちゃいいじゃん!」って言って、そのままスカウトして一緒にツアーに出たっていう経緯で。
「The Show Must Go On」Queen + Adam Lambert
柴 楽しみですよね。
大谷 しかもね、調べたら今回、フレディ・マーキュリーが亡くなる寸前のラストアルバムの曲を結構やるんですよ。その『イニュエンドウ』というアルバムに入ってるのが、この「ショウ・マスト・ゴー・オン」。
おそらくこれを書いた時にはフレディは自分が助からないってわかってるんですよ。復帰できないこともわかってる。その彼がバンドに最後に託したメッセージが「ショウ・マスト・ゴー・オン」だったんです。