恋の数だけハッピーエンドがある

偽装結婚にロマンスなんてあるの?

「愛人契約」と並んで人気のある「偽装結婚」が今回のテーマ。高額の小切手と引き替えの契約結婚をしたと思っていたヒロインが愛に目覚めていく話です。なかには犯罪捜査のための契約結婚などもあるそうですよ!

ハーレクイン豆知識:偽装結婚

「愛人契約」と並んで人気のあるテーマ「偽装結婚」。最初は形だけの結婚、でもお互いに愛し合うようになって行き……という変化していく2人の関係を追うのが楽しい作品です。9月15日に発売されるマリー・フェラレーラ作『記憶喪失の花嫁』では、新婚夫婦を装い麻薬の潜入捜査をしている連邦捜査官ヒロインが事故で記憶喪失になり、“夫”であるヒーローから本物の新婚夫婦だと思い込まされて……というちょっと変わった偽装結婚の物語が描かれています。

【作品紹介】

『プレイボーイの契約花嫁』

普段は大学で歴史建築を学ぶ地味な学生のエステルは、 事故で半身不随となった兄の生活費を助けるため、 ある大胆な仕事を引き受けた。 エディンバラ城で開かれる上流階級の結婚式に出席するのだ── 高名な老政治家の愛人役を演じて。 優美な化粧とドレスで変身したエステルの仕事ぶりは完璧だったが、 皮肉にもそれが一人の男の目にとまってしまう。 大富豪でプレイボーイと噂のラウール・サンチェス・フエンテ。 突然、彼から驚愕の求婚を受けたのだ。高額の小切手と引き替えに、 病身の父が亡くなるまでの数週間だけ契約花嫁になってほしいと。


「花嫁が必要なんだ。自分が欲しいものを知り、そのために必要な行動をとれる花嫁が」

ドアを閉めようとしたとき、ラウールが差しだす小切手が見えた。宛名はエステルになっていて、途方もない桁が並んでいる。彼はエステルを金で雇おうというのだ。ゴードンがそうしたように。

ラウールがどういうつもりだろうと、ゴードンを裏切ることはできない。

「何を考えているのか知らないけれど、ゴードンと私は……」

「ゴードンとヴァージニアと私、だろう?」

エステルの頬からみるみる血の気が引いた。

「今ヴァージニアが外出するのを見た。ふたりともゴードンのデート相手なのか?」

「あなたに説明する義理はないわ」

「確かに」

ラウールは認めた。

「どうして私の住所がわかったの?」

「君がゴードンとダンスしているあいだにバッグを探らせてもらった」

あきれた。彼は信じられないくらい率直だ。

「中に入れてくれるのか、それともこのまま玄関先で話すか?」

「困るわ」

常識はラウールを閉めだせと告げていたが、好奇心が勝った。こんなことに巻きこまれ、こんな話をするはめになるとは思ってもみなかった。だが何より、初めて目が合った瞬間から頭を離れないこの男性のことをもっと知りたかった。

「十分だけ時間をくれ。それでもまだ出ていってほしければそうする。二度と君をわずらわせない」

冷静な口調だった。彼にとって、これはビジネスなのだ。そしてエステルにとっても同じだと思われている。彼女はあえてそう思わせておくことにした。

「十分だけよ」

エステルはドアを開けた。 ラウールが狭い室内を見まわす。どこにでもあるような学生ハウスだ。

「君は学生なのか」

「そうよ」

「専攻は?」

「古代建築」

「本当に?」

予想外の答えだったらしい。 エステルはラウールに椅子を勧め、自分は反対側の椅子に座った。彼が単刀直入に切りだした。

「父が病気だという話はしたね。そして前々から僕に身をかためてほしいと思っている話も」

エステルはうなずいた。

「父は死ぬ前に望みがかなったところを見届けたいと願っている。妻を持てば僕の生活態度も改まると信じているんだ」

エステルは何も言わなかった。彼の指に結婚指輪をはめたとしても、とうてい昨夜の出来事は阻止できなかっただろう。

「父は僕が結婚しなければ、自分が持つ会社の株を死後、僕の……」

ラウールはどうしてもルカを弟と呼ぶことはできなかった。

「そんなことを許すわけにはいかない。それでこうして君と話をしに来た」

「その話をアラミンタにしたらどう? きっと喜んで結婚してくれるわよ」

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ハーレクイン・ロマンス

数々の恋愛小説を世に送り出し、女性たちに癒やしを届けてきたハーレクイン・ロマンス。なんと、これまでに出した全ての小説は必ずハッピーエンドを迎えるのだとか。今回はそんなハーレクインの日本上陸35周年を記念して、人気の35作品の見どころを...もっと読む

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