cakes読者の皆様ごきげんよう、約1ヶ月半の留学より無事帰国いたしました池澤春菜です。
うう……なんの収穫もなく。ロマンスの、ロの字も……あったのはロブスターロールのロくらい(あ、でも二つも入ってる)。おかしい、あの渡米時のトキメキは何だったんだ!! でも引き続き日本でも探しますよ、トキメキを。
さて。
今回チャレンジするお話は……ええ、あえてチャレンジという言葉を使いましたが、今までちょ〜っと苦手で 避けてきた分野でございます。ティファニー・ライス「天使のはつ恋」。何となく爽やかな、甘酸っぱい感じのタイトルですが、 いやいや、これが。もう最高糖度……むしろ糖度って言うより粘度。HPのコピーが「切なく官能をゆさぶるT・ライスの衝撃の新作! 彼女のぬくもりが、傷ついた天使に飛び方を教えた——Erotica エロティカ溢れる欲望、極限の愛。」……大丈夫かしら、私。
ヒロインノーラは官能小説作家。恋人ソルンは、聖職者でありながら性的倒錯者秘密クラブの支配者……おおおう、この解説文だけでちょっと目眩が。「天使のはつ恋」には前作があり、そちらで人間関係は構築済み。生半可ではないすったもんだの挙げ句、前作でようやく心が通ったノーラとソルン。今回は、彼らに加え、自傷癖のある超絶美少年マイケルのプライベー トが、何者かの「利益相反の可能性あり」との密告により晒される危機に。ここらへんのサスペンスな畳かけがうまくて、さらに仕掛けとしてヒーローとヒロインは充足しているけれど世間的に見れば後ろ指さされる身だ、というのがよ〜く効いてます。