自分で全部やるからおもしろい
—— 今はゲンロンのサイトのリニューアルとかも、東さん自らガンガンやっているという話を小耳に挟んだですが。
東浩紀(以下、東) タンブラーでね。やりましたよ。
—— タンブラーのカスタマイズをしまくってたんですか?
東 レスポンシブデザインみたいな話だとタンブラーが1番楽らしいので。スマホでもきちんとデザインが変わってくるし。今のゲンロンのサイトの構造ってすごいシンプルになってるんですよ。こういう風になってて。
—— へえ! このバージョン初めて見ました!
東 「ゲンロン友の会」「ゲンロンカフェ」「ゲンロンショップ」。ゲンロンの事業ってこの3つしかない。 このシンプルさがすごく大事なんです。
今までは、出版機能である「ゲンロン」と会員向けのサービス「ゲンロン友の会」をわけて4つのカテゴリーがあったんですよ。でも、出版機能と「ゲンロン友の会」は実質サービスとして同じなんです。そういうのを組み替えて、サイト構造の形におとすっていうことを、この数ヶ月やってました。その結果、うちの会社のサービスは非常にシンプルになった。
—— この作業って、東さんが文章を書くときに、構造の美しい、美質の高い文章を好まれるのと同じ推敲作業ですよね。ホームページのデザインについても、サービスの方針にしても、全部文章を構成して、推敲するようなものづくりの延長線上に見えてきました。
東 プログラミングとかはもちろん別の人ですけど、内容はぼくが全部細かく把握した結果こうなりました。これはね、他の人はできない。ゲンロンって会社の全体のサービスの構造がわかってるのはぼくしかいないんだもん。当たり前ですね。
—— 組織構造への理解も変わり続けているわけですものね。
東 「東さんは、文章書くだけでいいのに、よく出版とかやりますね」ってよく言われるわけだけど、文章を書くだけはおもしろくないから出版事業を立ち上げたわけでね。それなのに、ゲンロンって会社を大きくしていく中で、出版事業は社員に任せて、自分はクリエイティブなことだけをやるぜって、それだったら最初から会社起こすなって話なんですよね。だから、この会社はぼくが細かいところまでやってるから楽しいんであって、それでいい。
—— なるほど。
東 これこそぼくがやるべきことです。最近になって、ようやくゲンロンっていう会社のミッションがわかるようになってきました。
「研ぎ澄まし」でコンテンツを作る
—— 振り返ると、会社名も「コンテクスチュアズ」っていう名前から「ゲンロン」に変えたり、ゲンロン友の会のサービスも、何度もリニューアルしていって、常に最適な答えを探して変化していったわけですよね。
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