青木俊介(あおき・しゅんすけ/ユカイ工学代表)
2001年、東京大学在学中にチームラボ株式会社を設立、取締役CTOに就任。2006年、検索エンジン「SAGOOL(サグール)」を開発。2007年、ユカイ工学LLCを設立。神戸ビエンナーレに「カッパノイド」を出展、入賞する。2008年、pixiv株式会社の取締役CTOに就任。2009年、上海の東華大学信息科学技術学院終了。2011年にユカイ工学を株式会社化する。
僕らの会社は「ユカイ工学」という名前で、ロボットの制作や企業のプロダクト開発の手伝いをしています。僕は大学の同級生とチームラボという会社を立ち上げて、6年ほどCTOをしていました。その間ずっとパソコンの黒いコンソール画面のなかに文字が流れていくのを眺める毎日だったので、そろそろ画面の外に出たくなったんですね。そこで、もともとロボットが好きだったこともあり、ロボットをつくる会社として2007年にユカイ工学を立ち上げました。
ユカイ工学でつくったもの
カッパノイド
人と一緒に暮らすロボットをつくるというのが僕達の目標です。だから、リビングにおいてコミュニケーションをとることができる、カッパをテーマにしたロボットをつくりました。これは僕に似ているとよく言われます(笑)。
coconatch
USBをつなぐと、メールやTwitterのリプライが来たことを、プルプル揺れたり喋ったりして知らせてくれる小さなロボットです。現在は、これを家のさまざまな場所で使うというプロジェクトを進めています。
Kinectのようなセンサーは現在ひとつ1万5千円から2万5千円くらいしますが、この2、3年のうちに同じような性能で千円を切るようなものが出てくると考えています。
家の中に人の動きや気温などを感知するセンサーをたくさん設置して、その情報をネットワークを介してロボットに伝えるシステムがつくれると思うんです。そうしたら、ロボットが寝ているときの体の動きを感知して「おはよう、昨晩はよく眠れてなかったんじゃない?」と話しかけてくる、なんてことが実現するかもしれない。まさに「ドラえもん」と一緒に暮らしているような体験ができるのではないでしょうか。そして、家電自体がネットワーク化されることによって、それぞれをロボットと連携させ、ロボット経由で家電をコントロールすることも可能になると思います。
その他にも企業と一緒に以下のようなプロトタイプづくりや制作をしています。
スマホで遠隔地からコントロールできるベビーモビール
ロボット掃除機
GoogleGlassの対抗馬と言われているウェアラブルデバイス
脳波に反応してミミが動く「ネコミミ型コミュニケーションツール」
他にもTEAMLAB HANGERという、ハンガーを手に取るとかかっている洋服の情報をサイネージに表示するデバイスなどもつくってきました。
このTEAMLAB HANGERの内部には「konashi」というユカイ工学の製品が使われています。
konashiというのは、1年ほど前に発売した、フィジカルコンピューティングのキットです。これを使うと、スマホからいろいろなデバイスを簡単に扱えるようになります。
例えば、電源のオン・オフをBluetoothを使って遠隔でおこなう、センサーをつないでスマホで操作する、などのことができるんです。
デザインとはなにか。そしてこれからのデザインとは
僕たちは通常、「プロダクトデザイン」をしています。どんなものをつくるかというコンセプトを定め、それに基づいてかたちと仕様を決めて、実際に製作するところまでひと通りやる。ときには、プロトタイプをつくるだけでなく、量産する工程まで手がけます。
さて、そもそもデザインとはなんだと思いますか? ちょっと聞いてみましょうか。
生徒A「誰かの伝えたいメッセージを、よりわかりやすく伝えるためのもの」
なるほど、たしかにそういう面もありますね。
生徒B「目的に到達する手段だと思っています」
おお、僕の考えとほぼ一緒です! 僕は、こう考えています。
アート =問題発見
デザイン =問題解決
テクノロジー=解決手段
こうやって分類するとわかりやすいですよね。さらにデザインで解決するところを図にしてみました。
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