アクセス解析で、なぜ「直帰率」が大事なのか
さて、前回のコラムに続いて、アクセス解析についてです。
慣れない内はGoogle Analyticsなどの画面をみても、どこをどのように着目し、改善していくべきなのか? よく分からないですよね……。前回の私のコラムで書かせてもらったように、「『空・雨・傘』のフレームで傘レベルの知見を出すべく仮説検証を重ねろ!」と言われても、具体的に何をしたらいいのやら……という人は多いと思います。それは仕方がありません。もう少し具体的な方法論に今回は入って行きたいと思います。
さて、今回も基本的には、広告でオカネを儲けるビジネス・モデルのサイトにおいて、ページビューを最大化するためにはどうすればいいか? というゴール設定からアクセス解析を行うことを前提として話をします。楽天やAmazonのようなECサイトや、このcakesのような有料課金型のコンテンツサイトならば、アクセス解析で着目する視点も、当然、違ってくるのです。
アクセス解析を見ることとは、医者がレントゲン写真を見たり、血糖値やガンマGTPや血圧の数値などの人間ドックなどの結果を見るようなものなのです。検査結果の数値だけを見て、人間ドックの検査医が相撲の力士に対し、あなたは脂肪が付きすぎで不健康だからダイエットしなさい、と機械的な判断に基いて生活指導をしたところで無意味なように、そもそものウェブサイトの使命や開設の目的、ビジネス・モデルの構造を抜きに、アクセス解析の数値だけを見て、このサイトは「健全」だとかそうじゃないとか言うのは、愚の骨頂だと予め言っておきます。
具体的なアクセス解析について、「ツボ」を押さえた視点で見ていくには……どうすればいいのでしょうか。今回のキーワードは「直帰率」です。
直帰率(英語でいうとbounce rate)とは、サイトの外からリンクなり検索エンジンなりでやって来た人の全体人数のうち、その1ページだけを見て帰ってしまう人が占めている比率のことを言います。当たり前ですが、直帰率が高いページがサイト内に多いと、ページビューはなかなか増えにくいですね。
これは、客が来て、何も買わずに、あるいは一品だけ買ってすぐに帰ってしまうスーパーやコンビニの売り上げが増えにくいことと同じです。
さて、広告モデルのサイトにおいて、どのように売上や、ページビューが産み出されるのか? を、コンサル用語でいうMECEに(つまり、漏れ無くダブりなく)ロジックツリーに分解すると下記のようになります。「直帰率が高い」ということは、下記のフレームで言えば、「UUあたりPV=1」であるように、サイト外から流入しているポイントが多いということですね。
ページビュー依存の広告モデルでのサイト運営では、大事な視点は、常に流入と回遊の2つになります。なぜならばPVとは下記の恒等式で説明されるからです。
PV=「流入」(「UU」の増減)「回遊」(「UUあたりPV」の増減)