天才のつくり方

第11回】天才とは、特別に偏った才能をもつ人のことである。

「頭がいい」というと、IQが高く、学業成績もいい優等生が思い浮かぶ。しかし、「天才」というのは、そういうことではない。むしろ、学校では落ちこぼれでも、他の人にない突出した能力を開花させることができる人が天才なのだ。オープンソースソフトウェア「Ruby」を開発したまつもとゆきひろさんのエピソードなどから、天才とは何かをさぐる。

オタクな理系大学と、コミュ力が強い私立大学は分断されている

茂木 そうそう、この対談の最初、北川にハーバードの入試の話を聞いたじゃん? 自分が何に興味があるのかEssay(小論文)に書いて、灘高でやってきた研究結果についても追加で提出して……その話、すごくおもしろかったんだけど、だんだん東大に対して腹立ってきてさ。おれだって、蝶の研究の話を聞いてほしかったよ!

北川 あの話で、恨みがよみがえっちゃったんですね(笑)。

茂木 だって、おれの入試は、完全にペーパーテストだけだったんだよ。それって、人格とか実績は無視して、点数だけで判断されたってことだよね。なんか、すごく人間を侮辱してる入試だと思う。

北川 そうですよね。理想の入試っていうのは、その人の、それまでのストーリーがすべて活きるようなものであるべきだと思います。

茂木 しかも、日本の大学は、入試の時点で理系と文系に分けることも含めて、均一な人間を集め過ぎだと思うんだ。ハーバードでは理系も文系もまじって、ハウスっていう寮に住んでるんでしょ?

北川 はい。しかも、理系と文系だけじゃなくて、本当にいろいろなタイプの人間がひとつのキャンパスにいるんです。僕は、かなりガチガチの研究者タイプでしたけど、もう勉強なんか興味なくてコネクションづくりが第一で、将来は金融業界で金持ちになりたい、みたいな学生もいました。それこそ、映画『ソーシャル・ネットワーク』に出てくる、エリート学生が集まる「ファイナル・クラブ」に所属するようなやつらですね。

茂木 へえ、そういう人たちとも仲良くなれるものなの?

北川 それが付き合ってみると、意外とおもしろいんです。勉強ができるのとは、また違った賢さを持っているし、話していると普段とは違う化学反応が起きるというか。なかなか魅力的なやつらなんですよ。

茂木 なるほどなあ。日本だと、そういう学生は大学ごとに、ある程度わかれてしまっているよね。例えば、東工大のオタクっぽい理系学生と、慶應のコミュ力があって派手な感じの学生とかね(笑)。なんか、社会に開かれていて、楽しい学びを売りにしている大学は、総じてアカデミックに弱い気がする。ノーベル賞クラスのすごい研究がそこから出てくる気はしない。一方、東工大や地方の地味な国立大学などは研究レベルが高いんだけど、それを発信する水平のコンテクストをつくる力がないんだ。

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天才のつくり方

茂木健一郎 /北川拓也

日本経済が停滞して久しい。一方で、アメリカではIT産業の新しい成功モデルがどんどん生まれている。この違いはどこにあるのか。 ここで登場するのが2人の天才。高校卒業後、8年間ハーバード大学で活動している理論物理学者・北川拓也。一方、1...もっと読む

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