青鬼

第7回 幽鬼 ―勇気―

ジェイルハウスのなかに入ろうとする卓郎たちだが、なぜか鍵が開かない。どこかから入れないかと入口を探すたけしが見たものは――!

実写映画も公開中の、人気ホラーゲーム「青鬼」。人気の火付け役となった小説版『青鬼』の一部を公開します。

第3章 幽鬼 ―勇気―

ゆうき【幽鬼】
(1)亡霊。幽霊。
(2)ばけもの。おばけ。

      1

 なんて気味の悪い屋敷なんだ。
 三階建ての古びた洋館を見上げ、たけしは二の腕をこすった。
 分厚いダウンジャケットを身につけているから、まだ誰にも気づかれていないが、両腕にはびっしりと鳥肌が立っている。卓郎がいなければ、たぶん大声で泣きわめき、ソッコー逃げ出していたに違いない。
 頭に超がつくほどの臆病者であることは、充分すぎるほど自覚していた。とくに、幽霊や宇宙人など、得体の知れないものは大キライだ。
 だから、化け物が棲みついていると噂されるここ—ジェイルハウスにはこれまで一度も近づいたことがなかった。ジェイルハウスの先にあるゲームセンターへ出かけるときですら、わざわざ遠回りをしていたくらいである。
 ジェイルハウスの前で待っててくれ、と卓郎の連絡を受けたときからずっと、手の震えが止まらなかった。美香には寒さのせいだとごまかしたが、本当は違う。怖くてたまらないのだ。しかし、だからといって、卓郎の命令を断れるはずもない。断れば、幽霊よりも恐ろしい仕打ちが待ち受けているに決まっている。
 冗談じゃない。
 たけしは毒づいた。もちろん、声に出すことはない。
 ジェイルハウスは一時的な待ち合わせ場所で、そこからゲーセンにでも移動するのだとばかり思っていた。それがまさか、門扉を押し開けて敷地内に足を踏み入れることになるとは。
 夢なら早く覚めてくれ。
 目を閉じ、ひたすらそう祈る。
 ここに新しいホームセンターを作るだって? あまりにも馬鹿げた考えだ。こんな呪われた場所に、誰が好きこのんで買い物になんて来るものか。絶対、うまくいくはずがない。
 今すぐにでも卓郎の父親に助言してやりたかったが、たけしがそんなことをいい出したところで、鼻で笑われるのは目に見えていた。

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青鬼

noprops /黒田研二 /鈴羅木かりん

個人制作のフリーゲームでありながら、20万部突破の小説化、AKB48入山杏奈さん主演の実写映画化と、とどまるところを知らない人気を博している「青鬼」。 近日発売が予定されている小説版『青鬼3(仮)』に先立ち、人気の火付け役となった小...もっと読む

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