本当にこわいパリの病院
真夏の蒸し暑さのなか暮らしている日本の皆さんこんにちは。パリはヴァカンス・シーズン真っただ中。街中の店は1ヶ月くらいヴァカンス閉店し始め、パリジャンたちもヴァカンスに旅立ち、閑散としています。もちろん、観光スポットはますます観光客であふれかえって芋洗い状態です。
今回は、暑さも吹っ飛ぶような怖〜いお話をご紹介しましょう。
それは「パリで親知らずを抜く」というもの。
そんな大げさな……とお思いかもしれませんが、私にとっては 体の心から冷え上がるほどの恐怖体験だったのです。
日本で親知らずを抜かれたときだって、前日寝つけなかったほどにビビリの私。
それが異国の地で、未知の医療施術を受けるということがどれだけ怖いことか想像してみてください。
もう、これだけはどうしても避けたかった!
日本に帰国したときの歯科定期検診で親知らずがあるのは知っていました。でも、その時に抜くのが怖くて先延ばししていたのです。
ああ、あのときおとなしく日本で抜いてもらえばよかったのに……。
日本語で、かつ日本人の先生にやってもらうほうがずっと安心だったのに……。
そう考えてもあとの祭りです。
ついに痛み始めた親知らずを抜きに、いよいよパリの歯科に行くことになったのです。
抜歯してくれる病院が見つからない!
フランスではなにか体の不調がある場合、自分が選んだかかりつけのドクターに予約をとります。緊急や特殊な専門でない限りは、日本のようにいきなり病院には行きません。そこで簡単な診察を受けて薬をもらったり、精密検査をしたり、そのドクターでは対応できない病状のときには専門のドクターの紹介状を書いてもらいます。
しかし、歯のトラブルの場合は別で、最初からかかりつけのドクターではなく、自分で歯科医を探して予約をとる必要があります。
早速ここで問題です。
親知らずを抜くときに、一体どこの歯科に行くべきかが分からなかったのです。
その理由の一つは、パリの歯科は外観から「どんな歯科か?」というのが見えない病院が多いこと。一般的に、歯科に限らず各専門の医者はごく普通のアパートの一室を仕事場にしていることが多いので、外からはその歯科が新しいのか古いのか、子供にも優しいのか、人気でいつも混んでいるのか、どういった治療を得意としているのか、一切分かりません。
ごく普通のアパートの扉にメタルプレートで「○○専門医の○○」と書いてあるだけ
どの歯科に行くべきか分からなかった、二つ目の理由は「パリの歯科事情でろくな噂を聞いたことがない」からです。
パリ在住の日本人の間では、
「虫歯で歯科に行ったら、奥歯を割られてそれっきり放置された!」
「詰め物がとれて治療に行ったら、とんでもない金額を見積もられた!」
などなど、本当だとは信じたくない、イヤ〜な噂がよく流れているのです。
そこで私は、日本人の知人にどこの歯科がよいのか必死で聞いて回り、やっと「英語でも通じる歯医者さんで、日本みたいに何度も通わず一発で完璧に治療してくれた」という素晴らしい歯科を紹介してもらいました。
パリの高級エリアにあるその歯医者に早速、予約の電話をしてみると……。
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