今後は、何事に対しても「無関心」でいたい
常見陽平(以下、常見) あのさ、中川くんは最近人前に出るよりも、ネット編集者やPRコンサルとか裏方仕事のほうをがんばってるよね。自分がなにかの媒体に出ても告知もしないし。連載も結構やってるよね?
中川淳一郎(以下、中川) うん。たしかに、いま「週刊新潮」「東京新聞」「日刊ゲンダイ」。あと、「ザ・テレビジョン」「女性セブン」とか結構いろんな媒体で連載をやってるんだけど、告知したことはほとんどないんだよなぁ。
常見 それはなんでなの?
中川 あんまり表に出たくないんだよな。いま、オレにとって最大の関心は全てに対して「無関心」でいることだから。
常見 無関心?
中川 まず、人間関係だな。小学校から大学、会社とか、いままでオレは人生でいろんな人に出会ってきていると思うんだけど、そのなかでいまも関係が続いている人って、全体の0.1%だと思うんだよね。
つまりさ、大事なのは家族と「いま会っている人」なんだよ。付き合いの「長さ」や「蓄積」は重要じゃない。だって、中学の時にものすごく仲が良かったやつだって、いまはもう会ってないだろ? 俺だって大学同期のなかで、年に4回以上会う人は陽平だけだからな。だから、今そばにいる人を大事にしたいから、これ以上もう無理やり知り合いを増やす必要もないな、と思って。
常見 なるほど。
中川 あと、表に出ないのは、オレが表に出てももう叩かれるだけだからさ。誰かが表に出る理由っていうのは、人より目立って、知名度を上げて、仕事をとってお金をもらうためだと思うんだ。でも、どんな人でも表に出たら、ネットでは9割方叩かれるんだよ。オレは業界ではもう十分知られて、仕事も来るようになったから、「いつまでもなんでそんなマゾみたいなことしなきゃいけないの?」って思うんだよね。
昔は「起業したい」って言わされてたんだと思う
常見 そうだよね。たしかに表に出る仕事が多い=儲かっているじゃないからね。テレビなんかでも文化人のギャラはやっぱり安いし、時間が拘束されることも多いし。それに、結局一番楽しい仕事って実は裏方だしね。好きなように大きいことをいろいろ仕掛けられるし、裏にいるから直接叩かれることも少ない。
中川 そうそう。フリーランスだと表に立たなきゃいけないから難しいんだけど。
常見 フリーはいろんな覚悟が必要なんだよ。だから僕はやっぱり安易に「会社を辞めて自由だ」「楽しい」っていう人たちにはノーと言いたいんだよね。