足りない部分は、ユーザーの力を借りて改善していく
茂木健一郎(以下、茂木) あなたは今回、「Duolingo」というサービスを新しく開発したんですよね?
ルイス・フォン・アン(以下、ルイス) はい。Duolingoは言語学習プラットフォームです。iOSやアンドロイド対応のアプリ、そしてウェブサイト版があります。特徴は、言語学習をまったく無料でできること。料金を払う必要はありません。
茂木 なぜ無料のプラットフォームにしたのですか?
ルイス 世界には12億人の言語学習者がいます。そのうち8億人は英語を学んでいる。彼らが英語を学ぶ理由は、よい働き口を得るためです。つまり、今英語を学んでいる人には、あまり社会的・経済的地位が高くなく、お金を持っていない人が多いのです。だからこそ、私達はこのプラットフォームを完全に無料にしようと考えました。
茂木 ではどうやってマネタイズするのでしょうか。
ルイス そこが問題でした。でも解決策が見つかったんです。その方法とは、ユーザーが外国語を学びながら、世の中で使われている文を翻訳する仕組みをつくることです。その翻訳料でマネタイズをします。例えば、CNNは私達のクライアントです。CNNの英語で書かれたニュースを、スペイン語を母国語とする英語学習者数人に英語の原稿をスペイン語に訳してもらい、翻訳されたものを私達はCNNに渡す。そして、CNNから報酬をもらうんです。
茂木 すばらしいアイデアですね。翻訳については、機械翻訳が使える水準に達するだろうと考えている人が多いですが、私はそう思っていません。現状、機械翻訳はまだまだ使いものにならない。ユーザーによる翻訳の質はいかがですか? 許容できる程度? それともすばらしい出来ですか。
ルイス ニュースに関してはすばらしいクオリティです。法的文書に関してはそこまでではありません。まあそもそも、母国語で書かれた法的文書を理解するのも難しいですからね。
茂木 Duolingoは2012年の6月に一般公開され、2013年には教育アプリとして初めて、年間のiPhoneアプリ賞を受賞したそうですね。いま、ユーザーはどれくらいいるんですか?
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