シュートが打てないあなたへ

人間は言葉を得ることによって賢くなり、そしてより臆病になりました。ネットを介して大量の言葉に接する機会を得た僕らが、今こそ取り戻すべきものって、いったいなんだろうか?

 僕は焦っている。

 気がつくと、もう48歳で、老眼も着々と進んでいる。子供たちはいつの間にか大学生になった。時間は確実に進んでいるのに、自分だけ前に進んでいない気がする。もうオレは、人生のピークを過ぎてしまったのではないのか?

 なぜ前に進めないのか? 原因は分かっている。それは「失敗への恐れ」だ。もう散々失敗してきたし、いまさらカッコ付ける必要なんかない。人にも「失敗をしたって、また立ち上がればいい」ってあっちこっちで言ってきた。それなのに足踏みをしてしまう自分がいる。でも、前に進みたいなら、得点したいなら、失敗を恐れずにシュートを打つしかないのだ。いつまでもパスを回していたって、点数は永久に入らない。

 この連載を通じて、こういった話はずいぶん書いてきた。これまでも、結果的に成功した時というのは、失敗なんか恐れていなかった。それに、親である僕自身が失敗を恐れてビクビクしてたら、子供たちに説得力を持ち得ないではないか。もう大きくなった2人に何か伝えられる機会があるとしたら、多分、これがラストチャンスなんだ。

言語が自分を定義し、悩みを創りだす
 しかし、そうはいっても怖いものは怖い。なぜなんだろう? 恐れというのは、人間だけでなく動物にも備わっている。でも動物は、未来のことを案じて不安に陥ったりしない。人間は、言葉を持ったが故に、より「恐れる」生き物になってしまったのではないだろうか?

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IT時代の未来〜それはユートピアかディストピアか?

松井博

現在、IT革命によって世の中の仕組みが急速に変わりつつあります。産業、政治、就労、コミュニケーション…… 影響を受けない分野はありません。未来はどうなっていくのか、こうした時代が私たちにどんな選択を迫ってくるのか、元アップル管理職の松...もっと読む

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コメント

3rd_hole 「失敗」が怖いと誰もが思うが立ち往生はもっと怖い。再開、待ち続けています! 約4年前 replyretweetfavorite

ko_kishi "動物にかえって「今」をつかむ自分も、言葉を介してストーリーを語れる理知的な自分も、同じくらい大切なのだ。" 松井博|cakes http://t.co/47O2jXPLnf 約4年前 replyretweetfavorite

ko_kishi "恐れというのは、人間だけでなく動物にも備わっている。でも動物は、未来のことを案じて不安に陥ったりしない。人間は、言葉を持ったが故に、より「恐れる」生き物になってしまったのではないだろうか?" |松井博|cakes http://t.co/47O2jXPLnf 約4年前 replyretweetfavorite