僕は焦っている。
気がつくと、もう48歳で、老眼も着々と進んでいる。子供たちはいつの間にか大学生になった。時間は確実に進んでいるのに、自分だけ前に進んでいない気がする。もうオレは、人生のピークを過ぎてしまったのではないのか?
なぜ前に進めないのか? 原因は分かっている。それは「失敗への恐れ」だ。もう散々失敗してきたし、いまさらカッコ付ける必要なんかない。人にも「失敗をしたって、また立ち上がればいい」ってあっちこっちで言ってきた。それなのに足踏みをしてしまう自分がいる。でも、前に進みたいなら、得点したいなら、失敗を恐れずにシュートを打つしかないのだ。いつまでもパスを回していたって、点数は永久に入らない。
この連載を通じて、こういった話はずいぶん書いてきた。これまでも、結果的に成功した時というのは、失敗なんか恐れていなかった。それに、親である僕自身が失敗を恐れてビクビクしてたら、子供たちに説得力を持ち得ないではないか。もう大きくなった2人に何か伝えられる機会があるとしたら、多分、これがラストチャンスなんだ。
言語が自分を定義し、悩みを創りだす
しかし、そうはいっても怖いものは怖い。なぜなんだろう? 恐れというのは、人間だけでなく動物にも備わっている。でも動物は、未来のことを案じて不安に陥ったりしない。人間は、言葉を持ったが故に、より「恐れる」生き物になってしまったのではないだろうか?
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