第3回 働くちからと貯蓄の話

私たちが生きていくために必要な「お金」を手に入れる方法――。それは、たったふたつしかありません。ひとつは働いて得る収入。もうひとつが、すでに手元にある資金を金融市場に投資して増やす方法です。定年になるということは、それまで得ていた労働収入がゼロになるということ。そのとき、あなたに残された唯一の方法が、投資家として生きることなのです。(『いきいき』2012年3月号より転載)

人的資本が経済を回す

いきなり身も蓋もない話をしますが、ひとはお金がないと生きていけません。これは、私たちが市場経済のなかで生きているからです。

ところで、私たちはどのようにしてお金を手に入れているのでしょうか。

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市場経済というのは、モノやサービスとお金を市場で交換する世界のことです。モノというのはネギや大根、家電製品や車などかたちがあるもので、サービスはレストラン(食事をつくる)やクリーニング店(洗濯をする)のように、誰かになにかをしてもらうことです。

もっともシンプルなのは、その日にとれた野菜や魚を市場に持っていってお金と交換することですが、日本のような高度な市場経済ではこういうわかりやすい仕事をしているひとはそれほど多くありません。

工場や会社、お役所などで働く多様なひとたちをひとつにまとめる便利な言葉が「人的資本」で、働いてお金を稼ぐちからのことです。どんな仕事であるかにかかわらず、私たちは自分の人的資本(働くちから)を労働市場(職場)に投資して、そこからお金を得ているのです。

ところで私たちは、お金を手に入れるもうひとつ別の方法を持っています。

銀行にお金を預けると、(わずかですが)利子がつきます。自分ではなにもしていないのですから、この利子は労働(人的資本の投資)から生まれたものではありません。それ以外にも、株式や債券を購入して配当を受け取ったり、家を貸して家賃収入を得たりすることもあります。

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カモにならずに自分のお金を増やす方法

橘玲

人気作家・橘玲さんが、独自の視点で金融市場、マネーのカラクリを解き明かす連載です。クールにお金について考えるための最適なレッスンとなるでしょう。

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