サッカーで繋がる世界—ワールドカップアジア最終予選 オマーン戦現地レポート

11月14日に行われた、サッカー日本代表のワールドカップアジア最終予選、オマーン戦の現地レポートを、写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱さんにご寄稿いただきました。普段あまり触れることのない異国の地、オマーン。サッカーという世界共通”言語”で、宇都宮さんがオマーンの方々との交流した記録です。代表の試合を見た人も見てない人も、ぜひご一読ください!

いきなりだが、「オマーン」と聞いて貴方は何をイメージするだろうか? おそらく今だったら、多くの人が「サッカー」とか「日本代表」と答えるのではないか。豊富な地下資源があるわけでもなく、オイルマネーで潤っているわけでもなく、また過激派によるテロの応酬があるわけでもない。サウジアラビアやカタールやUAE(アラブ首長国連邦)やイエメンといった、アラビア半島に割拠する他の中東諸国と比べると、オマーンはどこか地味でつかみどころのない国である。

そんな普段は縁の薄い中東の国が、にわかにクローズアップされるとすれば、それはワールドカップ予選で日本代表と対戦する時である。なぜならフットボールには、普段はなかなかリンクすることのない国と国とを、一気に近づける作用があるからだ。今回は、今月14日にワールドカップ・アジア最終予選の取材で訪れたオマーンについて、「フットボール的な視点」から紹介していくことにしたい。

オマーン代表のサッカーについて、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は、このように評している。
「グループの中で組織力に優れた、バランスの取れたチームだと思う。フィジカルでは、グループの他のチームに見劣りするものの、ピッチにうまい具合に選手を配置するやり方をしてくる」

実際、中東におけるサッカーのパワーバランスを見ると、まずイランやイラクという実力国があり(サウジアラビアも大国だが、最近は凋落が著しい)、UAEやカタールやバーレーンといった中堅国があり、オマーンは実力的にはヨルダンやレバノンと並ぶ「第3グループ」と言えよう。最新のFIFAランキングは85位。日本の24位と比べると、その差は明らかである。

国際大会への参加も90年代に入ってからと遅かった。これは国自体が70年代に入るまで鎖国政策を続けてきた影響と思われる。90年代のオマーンは、アジアの予選にはエントリーするものの「出ると負け」の弱小国でしかなかった。しかしその後、国外から優れた指導者を招聘するなどして、徐々にアジアでの序列を上げ、09年のガルフカップ(湾岸諸国の国際大会)に初優勝。今回のワールドカップ予選でも、3次予選でオーストラリアを破るなどして、初めて最終予選に名乗りを挙げた。

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宇都宮徹壱

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