本を出したら、性欲がなくなってきました
二村ヒトシ(以下、二村) 深澤さんと芥川賞作家の津村記久子さんの対談本『ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法』を拝読しました。津村さんは相当おもしろい方ですね。芥川賞をとられたあとも普通の会社で普通にOLを続けられてるんですよね?
深澤真紀(以下、深澤) いまは会社は辞められましたよ。津村さんの自意識はとても面白くて、ねじれた自意識の私には興味深かった。この対談のテーマは、「社会の変な中年として生きよう」ってことなんですよね。
二村 変な中年?
深澤 私も彼女も、それぞれ「変な中年」として生きていく道を一生懸命いま探しているところなんです。そしてそれは二村さんにならって言えば、自分の「心の穴」(※)をある程度肯定して残すことなのかもしれません。
でも二村さんは、「あなたの心の穴はここでしょう、その理由を探しましょう」って発見して喜んでますよね。
※心の穴:二村さんが提唱する恋愛理論のキーワードで、心のなかの満たされない部分のこと。二村さんは「心の穴」を、子供時代の親に否定された経験によって生み出され、人はそれを埋めるために恋愛をすると語っている。(参考記事)
二村 じつは自分の最大の心の穴だと思っていた「女好き」っていうのが、最近なくなってきてしまって……。以前だったら行ってたな、っていうところで踏み込まなくなってきたんです。
深澤 あんなに本のなかで自分をさらけ出して、出し尽くしていたら性欲も薄れますよ(笑)。ちなみに二村さんは最近亡くなった作家の渡辺淳一さんのことは羨ましいんですか?
二村 以前は羨ましかったんですよ。ああいう死に方したかった。