【ハーレクイン豆知識:ハーレクインと電子書籍】
ハーレクインが電子書籍の展開を始めたのは’06年頃で、比較的早い時期からでした。ボタンひとつで気軽に作品が買える電子書籍ではやはり、セクシー度の高い作品の方が人気がある様です。ハーレクインでも紙書籍ではストレートなラブシーン描写や不倫などは基本的にNGなのですが、デジタルではそういったものを解禁した作品を展開しています。
【作品紹介】
NYの闇の帝王キングズリー・エッジが所有する、秘密の会員制高級ナイトクラブ〈ファゾムズ〉。酒を飲みくつろぐ男たちを囲むように据え置かれた巨大な水槽の中で、銀の鱗のタトゥーをきらめかせた全裸の美しい少女たち——マンハッタン・マーメイド——が優雅に泳いでいる。彼女たちはキングズリーによって庇護され、高給を支払われ、豪華なアパートメントをあてがわれる。“キングズリーのマーメイドは処女でなければならない”という、たったひとつの条件のもとに。 処女を失う——それはマーメイドが人間の女になるとき。即ち、〈ファゾムズ〉を去るとき。NYきっての若手弁護士デレク・プリンスは、そんなマーメイドたちの中でもひときわ美しいジーニアに恋をした。彼女のどこに触れても、キスをしてもいい。狂いそうなフェラチオをされることも許されている。欲望に猛る彼のモノを、ジーニアの処女に突き立てさえしなければ。だがデレクは、ジーニアの最初で最後の男になりたいという想いを、次第に抑えられなくなっていく——。
「今夜もようこそ、ムッシュー・プリンス」
振り向くと、後ろにキングズリーが立っていた。今夜の彼は多少モダンなスーツ——黒のアルマーニ——を着ていた。髪は昨夜のようなポニーテールではなく、下ろしたままだ。名の知れた男の貴族風の顔は、まぎれもなくぴりぴりしていた。
「ミスター・エッジ、また来いとジーニアに言われたんです。かまいませんよね?僕はただ彼女と話がしたいだけです」
「もちろんだとも。おれのマーメイドたちはここの従業員であって、囚人ではない。会いたい人には誰でも会えるようになってる。このメモを君に渡してほしいと、ジーニアに頼まれたよ」
キングズリーは、水滴のしみがついた海のように青い紙切れをデレクに手渡した。
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