「草食男子」の生みの親は、実はエロにも詳しかった
二村ヒトシ(以下、二村) はじめまして。じつは僕はお会いする前から、深澤さんのお話はいろんなところでうかがってたんです。
深澤真紀(以下、深澤) ええ、私も代々木忠さんなどAV関係の仕事もしたことがありますし、いろいろなところで、二村さんのお話をうかがってました。
二村 そうでしたか。僕は20年くらい前に男優から監督になったんですが、5年ぐらい前にいろいろ全部やりなおそうと思って(笑)、代々木監督の撮影現場の門を叩きまして、何回か、いちばん下っ端の男優をやらせてもらったことがあります。代々木さんに「ヒトシはセックスへただな! 愛がないな!」って叱られながら……。
深澤 以前、代々木さんを囲む女性たちの会に参加したことがありまあす。「イクときには宇宙が見えるんだよ!」なんて代々木さんが熱く語るのをみんなうっとりとながめていて。私だけ冷めた顔をしてたら、代々木さんに「君は僕のことを尊敬してないね!」って怒られました(笑)。
二村 それは……。コメントしづらいので話題を変えますが(笑)、深澤さんといえば「草食男子」の名付け親というイメージが強いんですが、エロ関係もお詳しいんですね。
深澤 そうですね。AV監督の風吹あんなさん(※)の本の編集を担当したこともありますし、エロ関係の仕事もいろいろしています。
※風吹あんな:1973年生まれのAV女優。1994年デビュー。1995年には監督デビューも果たす。2001年に、深澤の編集担当で著書『セックスプレイヤー』(インターメディア出版)を上梓した。
二村 「宇宙企画」から売り出して、その後、女優さんからAV監督に転身した先駆けの人ですね。じっさいに膣口が2つある女性としても有名でした。そのぶん私は普通の女よりも性欲が強いんだ、というお話で……。凄みのある美人で。
深澤 「3日セックスしてないと体調が悪くなって口内炎ができる」っておっしゃっていました。血液検査をしたら、お医者さんに「君は天然で薬をやっているような状態だね」って言われるくらいいろいろな数値が高いんだとか。
彼女の本のタイトルを『セックスプレイヤー』にしたんですが、いいタイトルだったな、と思ってます。だから二村さんのことも、もちろん存じ上げておりました。「フタナリ」のAVとかも拝見してます。
二村 ありがとうございます。拙著を読んでくださってるだけでなくAV監督としての僕についてもご存じの方と話すのは、すごく嬉しいんです。多くの人はAV鑑賞の時に、あまり監督名まで注目しないので。
深澤 「草食男子」があまりにも一般的な言葉になってしまったので女性誌系やサブカル系のイメージを持たれるか、一方で上野千鶴子さんと20年来のおつきあいなので生真面目なフェミニストのイメージも持たれるので、「エロ業界には興味ないでしょ」と思われるようですが、性にまつわるいろいろなテーマの仕事をしてきたんです。
二村 たしかに、深澤さんと「そうそう、風吹さんにはマンコが2つあって」なんて話ができるなんて思いませんでした。
最近の若い男は使えない?
二村 深澤さんが言い出された「草食男子」ですけど、そもそもこの言葉ってどうやって生まれたんですか。