恋の数だけハッピーエンドがある

シンデレラは小悪魔

シンデレラストーリーといえば、「可哀想」なヒロインをイメージしがち。しかし、今回ご紹介するハーレクイン作品の主人公は、不遇でありながらもパワフルで、ちょっと小悪魔的な一面も。ハーレクイン流シンデレラストーリーをお楽しみください。

【ハーレクイン豆知識:シンデレラもの】

「シンデレラもの」とは、童話の『シンデレラ』のように、不幸な境遇のヒロインが最後に大逆転で幸せをつかむというストーリーを指し、ハーレクイン作品でも人気のあるテーマのひとつです。日本の読者の間ではヒロインの不幸な時期が悲惨であればあるほど支持が高まる傾向が。そんな不幸なヒロインは、一部の読者からは“ドアマット・ヒロイン”と呼ばれているそうです(靴で踏まれるドアマットのように酷い扱いを受ける、という意)。

【作品紹介】

さよならシンデレラ

“あなたは彼と目がそっくりだわ” 亡き母が遺した最期の言葉が、ロクシーの人生を変えようとしていた。 遺品の中から、大富豪の恋人が若き日の母へ宛てた手紙が見つかり、 彼こそがロクシーの本当の父親らしいとわかったのだ。 幼い娘を育てるしがないウエイトレスの彼女にとって、青天の霹靂だった。 私がその人の子供だと認められれば、娘にいい暮らしをさせられるわ。 希望を胸にマイクという弁護士を訪ね、事情を話したところ、 彼は疑いの目を向けてくるばかりか、証拠が不十分だとつっぱねた。 失意のあまりその場を飛び出したロクシーだったが、 その夜、どういうわけかマイクが彼女の職場に現れ、 不敵な笑みを浮かべながら、仕事を引き受けたいと言い出した!


 マイクは反論しようと口を開いたが、ロクシーは手を振ってさえぎった。終わってみないとわからないのはもちろんだけれど、私からすれば、今日のところはマイクは勝ったのだ。私の信頼を勝ち取ったのだから。

 そしてたぶん、私の心も。

 ロクシーはデスクから滑り下り、床がぐらりと傾いた気がしてはっとした。変ね。

 マイクに対する気持ちが単なる感謝以上のものなのか考えるのは今日三度目だ。“三度目の正直”という言葉が頭に浮かぶ。

 ロクシーは窓辺に行き、マイクの隣に立った。目の前の夜の闇と背後の明るい蛍光灯の光の間で顔が陰になっている。悲しげで、悔やんでいるような横顔だ。ロクシーはマイクの前に体を滑り込ませ、窓際のヒーターの上に座った。

「どうしたの? 突然謙虚になったりして」

「事実を言っただけさ。人の手柄を横取りするのはいやなんだ」

「誰の手柄だっていうの?」

 マイクはまばたきをして、驚いたようにロクシーを見た。

「きみだよ、もちろん。シンクレア家の一員だと証明して財産分与が認められれば、それはみんなきみの手柄だ」

「なるほどね」

 ロクシーはまたゆっくりとシャンパンをあおった。

「確かに鑑定するDNAは私のものよ。でも、あなたがいなければ何もできなかったわ。自分を過小評価しないで、弁護士さん」

 ロクシーはくすくす笑った。シャンパンの泡が鼻をくすぐったのだ。

「僕は有能な弁護士ってことかい? よし、今日は二人の手柄ということにして、僕たちに乾杯だ」

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恋の数だけハッピーエンドがある

ハーレクイン・ロマンス

数々の恋愛小説を世に送り出し、女性たちに癒やしを届けてきたハーレクイン・ロマンス。なんと、これまでに出した全ての小説は必ずハッピーエンドを迎えるのだとか。今回はそんなハーレクインの日本上陸35周年を記念して、人気の35作品の見どころを...もっと読む

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