青鬼

第5回 鬼門 ―ジェイルハウス―

卓郎たちに見つからないうちに、ジェイルハウスの前から立ち去ろうとするシュン。そのとき突然声かけられ振り向くと、そこにいたのはシュンが密かに憧れる学級委員長の杏奈だった。

実写映画も公開中の、人気ホラーゲーム「青鬼」。人気の火付け役となった小説版『青鬼』の一部を公開します。

     3

卓郎、たけし、美香の三人が門の向こう側へ消えたことを確認すると、シュンは廃工場を離れて、先ほどまで彼らが会話を交わしていた場所に立った。
 たけしの捨てた空き缶が、風に吹かれてシュンの足元まで転がってくる。人一人がようやく通れるほどに開いた門の隙間から中を覗き込むと、屋敷に向かって歩く三人の姿が見えた。いたるところから雑草が生えているせいか、台車を動かすのにかなり苦労しているようだ。
「こら、馬鹿。もっとしっかり荷物を押さえてろ!」
 たけしは何度も、卓郎に頭を小突かれている。もし、あそこにシュンがいたら、たけしのポジションの収まっていたのは間違いなく彼だったろう。
 見つかったら大変だ。
 シュンは卓郎たちの様子をうかがいつつ、静かに後ずさりを始めた。
 と、そのとき。
「こんなところでなにをやっているのかな?」
 突然、背後から肩を叩かれた。叫び声をあげたくなるのを必死でこらえ、振り返る。
怪訝けげんそうに立っていたのは、学級委員長の杏奈だった。フリルのついたスカートが風にひらひらと揺れている。
「あれ? 門が開いてる。どうして—」
「委員長、こっちへ」
 中を覗き込もうとする彼女の腕をつかむと、シュンは再び廃工場へと身を隠した。建物の陰から顔を出し、周囲の様子をうかがう。とくに変化はない。どうやら、気づかれずにすんだようだ。

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青鬼

noprops /黒田研二 /鈴羅木かりん

個人制作のフリーゲームでありながら、20万部突破の小説化、AKB48入山杏奈さん主演の実写映画化と、とどまるところを知らない人気を博している「青鬼」。 近日発売が予定されている小説版『青鬼3(仮)』に先立ち、人気の火付け役となった小...もっと読む

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