青鬼

第4回 鬼門 ―ジェイルハウス―

シュンの前に再び卓郎の姿が……! 卓郎はこの洋館―通称「ジェイルハウス」―になぜたけしと美香を呼んだのだろうか?

実写映画も公開中の、人気ホラーゲーム「青鬼」。人気の火付け役となった小説版『青鬼』の一部を公開します。

     2

「あ、やっと来た」
 こちらに向かって近づいてくる台車に気づき、美香は腰を上げた。冷たいアスファルトの上に長時間座っていたせいで、太ももの付け根が少ししびれている。
「遅いよ、もう」
 山積みされた段ボール箱が邪魔をして、卓郎の姿は見えなかったが、台車は<スマイル>の入口に常備されているものだ。彼に間違いない。
「ん、もう。いつまで待たせるつもり?」
 小走りで台車に駆け寄ると、
「よお」
 パーカー風ジャケットとコーデュロイのパンツをお洒落に組み合わせた卓郎が、挨拶をよこした。柔らかな髪からは、ベルガモットの香りがほのかにただよう。彼の誕生日に美香がプレゼントした香水だ。
「なんなの? この荷物。一体、なにを始めるつもり?」
「悪い。手分けして、この中へ運んでもらえねえかな」
 石塀をあごで示しながら、卓郎はいった。
「この中って……まさか、ジェイルハウスの中に?」
 町の人は皆、この塀の内側に建つ巨大な洋館を<ジェイルハウス>と呼んでいた。ジェイルが留置所を意味する言葉だと知ったのは、つい最近のことである。美香の身長の三倍以上ある石造りの塀は、確かに監獄を取り囲む壁のように見えないこともない。
「ちょ、ちょっと。ジェイルハウスに忍び込むって……冗談だろう?」
頓狂とんきょうな声をあげたのはたけしだった。
「ここには化け物が棲んでるんだよ。一度忍び込んだら、もう二度と戻ってこられない。実際、何人も行方不明になってるって—」

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青鬼

noprops /黒田研二 /鈴羅木かりん

個人制作のフリーゲームでありながら、20万部突破の小説化、AKB48入山杏奈さん主演の実写映画化と、とどまるところを知らない人気を博している「青鬼」。 近日発売が予定されている小説版『青鬼3(仮)』に先立ち、人気の火付け役となった小...もっと読む

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